遺産分割協議は、「相続人全員の参加」が要件です。つまり、相続人の中に精神疾患を患っている方がいる場合でも、その方を除外して遺産分割協議を成立させることはできません。これが大前提になります。性疾患と言っても、どの程度のレベルにあるのかについては、医師の診断にもよると思いますが、意思表示が困難な場合、成年後見人の選任を家庭裁判所に申し立てることになります。
精神障害がある相続人が意思決定能力を欠いている場合、その相続人の利益を守るために成年後見制度を利用するのが一般的です。この制度では、家庭裁判所が成年後見人を選任し、後見人がその相続人の代理として遺産分割協議に参加します。
成年後見制度には以下の種類があります:
①後見:意思能力が欠如している場合に適用され、後見人が全面的に財産管理や法律行為を代行します。
➁保佐:意思能力が不十分な場合に適用され、保佐人が特定の行為について同意を必要とします。
③補助:意思能力が一部不十分な場合に適用され、補助人が本人の希望に応じて一部の行為について同意を行います。
家庭裁判所への申立には、申し立てができる方が制限されています。具体的には、本人,配偶者,4親等内の親族,成年後見人・保佐人・補助人(以下「成年後見人等」という。),任意後見人,任意後見受任者,成年後見監督人等,市区町村長,検察官です。(裁判所HP引用)
必要書類は、「申立書」「医師の診断書」「本人の財産に関する書類」などが必要となります。専門家(弁護士・司法書士)に相談するか、裁判所のHPを参照してみてください。
成年後見人が選任された場合、成年後見人は遺産分割協議に本人の代理人として参加することになりますが、本人の利益を最大限に守るために行動する責任があります。具体的には、遺産分割の内容が相続人にとって不利にならないように注意を払い、適切な分割案を検討します。
こうしてまとまった遺産分割協議の内容をまとめた遺産分割協議書を作成します。この協議書には、すべての相続人(後見人を含む)が署名・捺印する必要があります。精神障害がある相続人の場合、後見人が代理で署名・捺印を行います。協議書の内容が明確で、公平であることを確認することが重要です。
精神障害がある相続人に対しては、配慮をもって対応することが重要です。必要に応じて、福祉サービスや専門家(弁護士や司法書士など)の助言を得ることも検討してください。精神障害を持つ相続人が適切な支援を受けられるように、家庭裁判所や関連機関と連携することも重要です。
2.本人と成年後見人が利益相反の関係にある場合の対処