遺産分割協議を成立させるためには、相続人全員の同意が必要です。相続人の一部が協議に参加しなかったり、同意しなかった場合、協議は無効となります。これにより、相続人が複数いる場合は、全員のスケジュール調整が必要となり、時間がかかることが予想されます。また、連絡が取れない相続人がいる場合、その人の権利をどう扱うかという問題も発生します。特に、異母兄弟や、長年会っていない親族が相続人に含まれる場合、円滑に協議を進めるために、事前に関係者全員に連絡を取り、理解を得ることが大切です。
2. 遺産の把握と適正な評価
遺産分割協議を進める前に、遺産の全体像を把握し、その評価額を正確に算出することが重要です。これには、不動産、金融資産、動産(家具や車など)、負債などを含むすべての遺産の調査が必要です。不動産の評価については、専門家による査定が求められることが多く、特に市場価値が変動しやすい資産に関しては、最新の評価を基に協議を進める必要があります。また、相続税の課税対象になる財産については、税務署から指摘を受けないよう、適切に申告することが求められます。こうした財産の評価が不十分なまま分割を行うと、後々トラブルに発展する可能性があるため、注意が必要です。
3. 法定相続分と遺留分の理解
相続分割の際に、法定相続分と遺留分の存在を理解することが不可欠です。法定相続分とは、法律で定められた相続人が受け取るべき相続財産の割合であり、遺産分割協議の基本となるものです。たとえば、配偶者と子供が相続人となる場合、配偶者は2分の1、子供は残りの2分の1を等分に分けるのが法定相続分です。しかし、法定相続分とは別に、相続人には「遺留分」という最低限保障された取り分があります。特に、遺言によって相続財産が特定の相続人や第三者に多く分配される場合でも、遺留分が侵害されている場合は、その分の補填を請求する権利があります。このため、遺産分割協議では、法定相続分と遺留分の調整をしっかり行い、全員が納得する形にまとめることが大切です。
4. 遺産分割協議書の作成と法的効力