(1)養子縁組の意義
養子縁組は、被相続人と養子との間で法的な親子関係を結ぶことを指します。養子は法定相続人となり、法定相続分が発生します。これにより、相続人の数が増え、結果的に各相続人の遺留分が減少することになります。法律上は、養子の数に制限はありませんが、税務上では制限があります。相続税の基礎控除に加算できる養子の人数には注意が必要です。
(2)遺留分への影響
養子縁組をすることで、遺留分権利者の人数が増え、それに伴い遺留分の総額が減少します。例えば、相続人が増えることで、1人あたりの遺留分割合が減少し、相続財産を柔軟に配分しやすくなります。一人当たりの法定相続分を下げることができ、結果、遺留分の額も減少します。
(3)具体的な方法
養子縁組による相続人の追加: 養子を迎えることで法定相続人を増やし、遺留分の減少を図る。
特別養子縁組の活用: 20歳未満の子供を養子とすることで、相続人の数を増やし、相続財産の分配を調整する。
6. 家族間の合意形成
家族間の協議
相続において家族間の合意形成は不可欠です。被相続人の意向を尊重しつつ、遺留分権利者を含む全ての相続人が納得する形で財産分配を進めます。
具体的な方法
家族会議の開催: 定期的に家族会議を開き、相続に関する理解と合意を深める。
遺留分放棄の協議: 遺留分権利者に対して事前に遺留分の放棄を求める(家庭裁判所の許可が必要)。当然、当事者に納得していただくために相応の財産の提供が必要となります。
※ すべての相続問題に言えることですが、この家族間の合意の形成(コミュニケーション)をしっかりやらず、きっと大丈夫と思いつつ放置し、相続が始まったときに家族間に亀裂が入るといった事案が散見されます。
7.まとめ
生前の遺留分対策は、遺留分権利者の権利を尊重しながら、被相続人の意思を最大限に実現するための重要なプロセスです。生前贈与、生命保険の活用、信託の利用、遺言書の作成、養子縁組、相続税対策の併用、そして家族間の合意形成など、様々な方法を組み合わせることで、相続が円滑に進行し、相続人間のトラブルを未然に防ぐことができます。これにより、相続財産の分配がスムーズに行われ、家族の将来に対する安心感を得ることができるます。
アイリスでは、相続関連(相続登記だけでなくその生前対策も)の無料相談を随時受け付けております。いろいろとお話を聞くために、あえて時間設定は設けておりません。ただし、予約優先となりますので、必ず事前にお電話で予約をしてください。手続きが発生するまでは、相談の費用は掛かりません。(登記の方法を教えてほしい等、ノウハウを相談事項とする方は、ご遠慮ください)