1.遺言書がなぜ必要
2024年(令和6年)の相続登記義務化により、今後、相続登記に関する問題が浮上する可能性が非常に高くなっています。現に、私が市役所の無料相談会に参加した際に、相談件数は通常の倍、しかもその9割以上が相続に関連するものでした。
それでは、遺言書を作成するメリットについて解説いたします。
相続登記をする際に、遺言書がない場合、「遺産分割協議」を相続人全員で行い、その内容をまとめた遺産分割協議書に相続人全員が記名・実印で押印し全員分の印鑑証明書の添付が要求されます。生前、離婚した妻の子供や疎遠になった親族が相続人になることがあります。遺産分割協議自体が困難になるケースも多くの相談者の方で見てきました。
この遺産分割協議は、遺言書があればその遺言書の内容に応じて相続登記が可能なんです。残されたご家族の負担が大きく軽減されるといっても過言ではありません。
2.なぜ70歳になったら遺言書なのか
遺言書の作成するのは、もちろん親になります。日本人の平均寿命からすると、男性81.47歳、女性87.57歳(2021年厚生労働省)です。まだまだ大丈夫なんじゃないのと思われるかもしれません。
しかし、ご高齢者になると、司法書士や公証役場に出向くことは、それなりに負担が大きいのです。元気なうちに遺言書の作成をする必要性があるのです。
支障なく日常生活ができるとされる健康寿命は、男性72.68歳、女性75.38歳(2019年厚生労働省)です。意外と短いということがわかります。
※健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」(厚生労働省)
さらに年齢が進むと認知症発症のリスクが増加します。グラフを見ますと70歳代後半から認知症発症の割合が、それまでと比べて増加していることがわかります。