2024年1月10日より、東京都および福岡県の公証役場において、日本公証人連合会が提供する定款作成ツールを使用して作成された定款に対して、48時間以内に定款認証手続きを完了させる新たな運用が始まりました。この運用は、法人設立手続きの迅速化を目的としており、特に事業を迅速に開始したい起業家にとって大きな利便性をもたらします。
さらに、2024年9月20日からは、この48時間処理が神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府の公証役場にも拡大される予定です。これにより、首都圏や大都市圏を中心とした広範囲の地域で法人設立の手続きが迅速に進められるようになります。
2. 72時間処理の新たな運用
2024年6月21日に閣議決定された新たな運用により、48時間処理された定款を基に、公証役場と法務局が連携して、原則72時間以内に法人設立手続きを完了させる「72時間処理」が導入されることになりました。この運用は、定款認証手続きに加え、法務局での登記完了までを含む法人設立全体のプロセスを効率化し、起業者に対してさらなるスピード感をもって対応できる体制を整えるものです。
この72時間処理の導入により、スタートアップ企業や新規事業の立ち上げを目指す事業者は、事業開始までの時間を大幅に短縮することが可能になります。これまでの法人設立手続きでは、定款認証から登記完了までに時間がかかることが課題となっていましたが、行政機関間の連携とデジタル化により、この課題が解消されつつあります。
3. 背景と目的
今回の48時間処理および72時間処理の導入には、近年の起業促進策やデジタル化の進展が背景にあります。従来、法人設立手続きには公証人による定款認証や、法務局での登記手続きに時間がかかり、特に起業のスピードが求められるスタートアップ企業にとっては、この遅延が事業開始の障害となっていました。
政府はこうした課題に対応するため、IT技術の活用と行政機関間の業務フローの見直しを進め、法人設立手続きの迅速化を目指してきました。これにより、事業計画の立案から資金調達、市場参入までのスケジュールがスムーズに進行し、企業家にとって大きなメリットとなることが期待されています。
4. 地域経済への影響
今回の運用拡大の対象地域は、東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、大阪といった大都市圏であり、これらの地域では多くの企業が集中しています。法人設立の迅速化がこれらの都市部で実現されることで、地域経済の活性化にも寄与することが期待されています。
特に、スタートアップ企業やベンチャー企業が多く集まるこれらの地域では、迅速な法人設立手続きにより、新規事業の立ち上げがスピードアップし、競争力の向上につながると考えられます。さらに、公証役場と法務局が連携することで、各機関間の業務フローが簡略化され、行政手続きにかかる時間や労力が削減されるため、利用者にとっても大きな利便性がもたらされるでしょう。