【なぜ相続は揉めるのか①】相続で争う家族の共通点とは?実は財産ではなく○○が原因だった

2026年07月27日

「うちは財産が少ないから相続で揉めることはない。」

相続の相談を受けていると、このような言葉をよく耳にします。

しかし、実際には相続争いは資産家だけの問題ではありません。

むしろ、一般的な家庭ほど相続をきっかけに兄弟姉妹の関係が悪化し、長年のわだかまりが表面化することがあります。

私は司法書士として相続手続きに関わる中で、「なぜこの家族は揉めてしまったのだろう」と考える場面に何度も遭遇してきました。

そこで今回から、「なぜ相続は揉めるのか」というテーマで連載を始めたいと思います。

第1回は、相続で争う家族に共通して見られる特徴について考えてみます。

目次

  1. 相続争いはお金持ちだけの問題ではない
  2. 相続で揉める家族の共通点
  3. 本当の原因は財産ではなく感情
  4. 「平等」と「公平」の違い
  5. 生前のコミュニケーション不足が争いを生む
  6. 相続対策の本当の目的とは
  7. まとめ 

1. 相続争いはお金持ちだけの問題ではない

相続というと、多額の財産を持つ資産家の問題だと思われがちです。

しかし、実際の相続現場では、必ずしもそうではありません。

預貯金や自宅不動産を合わせて数千万円程度の相続であっても、兄弟姉妹が対立するケースは珍しくありません。

なぜなら、人は財産そのものに反応しているのではなく、「自分がどう扱われたか」に反応しているからです。

相続は単なる財産分配の手続きではありません。

家族関係の総決算とも言える出来事なのです。

2. 相続で揉める家族の共通点

これまでの経験から言えることは、相続で揉める家族にはいくつかの共通点があります。

その一つが、

「家族の中で本音の話ができていない」

ということです。

親は、

「そのうち話そう」

と思っています。

子どもは、

「聞きづらい」

と思っています。

結果として、

  • 財産がどれくらいあるのか
  • 実家をどうするのか
  • 親は誰に何を託したいのか

が共有されないまま相続を迎えてしまいます。

そして親が亡くなった後、残された家族が推測で話し合うことになります。

推測は誤解を生みます。

誤解は不信感を生みます。

不信感は争いへと発展していきます。

3. 本当の原因は財産ではなく感情

相続争いの相談を受けていると、表面上は財産の話をしていても、その奥には感情の問題が隠れていることが少なくありません。

例えば、

「兄ばかり親に可愛がられていた」

「介護は私がしたのに」

「親の面倒を見なかったのに同じ取り分なのか」

といった感情です。

法律上は平等に分けることができたとしても、感情が納得していなければ問題は解決しません。

相続とは財産の問題であると同時に、人間関係の問題でもあるのです。

4. 「平等」と「公平」の違い

相続では、「平等に分ければ揉めない」と考えられがちです。

しかし、実際はそう単純ではありません。

例えば、

長年親の介護をしてきた子どもと、ほとんど関わらなかった子どもがいた場合。

財産を半分ずつ分けることが本当に公平でしょうか。

一方で、介護した子どもに多く残せば、他の兄弟は不満を感じるかもしれません。

ここに相続の難しさがあります。

人によって公平の基準が違うのです。

だからこそ、生前の段階で親の考えを伝えておくことが重要になります。

5. 生前のコミュニケーション不足が争いを生む

相続で揉める家族の多くは、実は相続が原因で揉めているわけではありません。

相続をきっかけに、今まで見えなかった問題が表面化しているだけなのです。

家族は近い存在だからこそ、意外と大切な話を避けてしまいます。

お金の話。

介護の話。

老後の話。

亡くなった後の話。

こうした話題を避け続けた結果、最後に大きな問題として噴出することがあります。

私は相続対策とは、単に遺言書を書くことではないと考えています。

家族が将来について話し合う機会を持つこと。

それこそが本当の相続対策の第一歩ではないでしょうか。

6. 相続対策の本当の目的とは

相続対策という言葉を聞くと、

  • 節税
  • 遺言書
  • 家族信託

などの制度を思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし、本来の目的は違います。

それは、

「家族関係を健全なまま次の世代へつなぐこと」

です。

財産を残すことも大切です。

しかし、それ以上に大切なのは、家族の信頼関係を残すことではないでしょうか。

7. まとめ

相続で争う家族には、

  • 生前のコミュニケーション不足
  • 感情の積み重ね
  • 公平感の違い
  • 親の意思が伝わっていない

という共通点があります。

相続争いの原因は、必ずしも財産の多さではありません。

むしろ人間関係の問題が大きな影響を与えています。

だからこそ、相続対策は「財産対策」だけでなく、「家族対策」でもあるのです。

次回は、

「仲の良い兄弟ほど揉める理由」

について考えてみたいと思います。

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