相続法律・税務無料相談会のご案内
令和7年11月19日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。

「遺贈寄付をしたいけれど、実際にはどうやって進めたらいいの?」
こうした声が増えてきています。遺贈寄付は、自分の財産を社会貢献に役立てる手段として注目されていますが、実現するには正確な遺言書の作成と適切な受け入れ団体の選定が必要です。
また、手続きの途中で専門家の関与が求められることもあり、自己判断だけではリスクを伴うケースもあります。今回は、遺贈寄付の具体的な進め方、必要な書類、注意すべき法律上のポイントなど、実務に即した内容を詳しく解説します。
■ 目次
1. 遺贈寄付を実行するための2つの方法

遺贈寄付を行うには、基本的に**「遺言書に寄付の内容を書く」**ことが必要です。方法としては、大きく以下の2つに分かれます。
(1)遺贈(いぞう)としての寄付
遺言書に「○○団体に金○百万円を遺贈する」と記載する形式です。遺贈は相手方の承諾が必要で、団体側が受け入れを拒否することもできます。
(2)死因贈与契約
これは生前に寄付先と契約書を交わしておく方式です。契約であるため互いの合意が前提となり、遺言とは異なる性質を持ちます。
実務では、一般の方にとって扱いやすいのは「遺言による遺贈」です。ただし、内容に不備があると無効になる可能性もあるため、後述する注意点を理解しておく必要があります。
2. 遺言書の作成時に必要なこと
遺贈寄付を実現するための遺言書には、次の点を明確に記載する必要があります。
また、形式的にも「自筆証書遺言」よりも、「公正証書遺言」が安全です。自筆証書遺言は形式ミスで無効になるケースが多いため、専門家に相談しながら作成することを強く推奨します。
3. 受け入れ団体の選び方と確認ポイント
遺贈寄付では、「どこに寄付するか」も非常に重要です。団体の理念や活動内容が自分の思いと一致しているか、以下の点をチェックしておきましょう。
最近は、「遺贈寄付に特化した窓口」を用意している団体も増えています。電話やオンラインで相談ができるところも多いため、事前に意思疎通を図っておくと安心です。
4. 実務上の流れと専門家の関与

遺贈寄付を円滑に進めるためには、司法書士・弁護士・税理士などの専門家の支援が不可欠です。とくに以下のような場面で関与が必要になります。
また、遺贈執行者の選任も大切です。これは、実際に遺贈寄付を実行してくれる代理人のような立場で、遺言の執行を担います。自分の死後、遺志をしっかり形にしてくれる信頼できる人物や専門家に依頼することが望まれます。
5. 注意すべきトラブルとリスク

遺贈寄付は善意に基づく行為ですが、下記のようなトラブルが起こることもあります。
(1)相続人とのトラブル
遺贈によって相続財産が減ると、「遺留分侵害」として相続人から異議申し立てされる可能性があります。とくに、すべてを寄付する場合は慎重な判断が必要です。
(2)受遺者の受け入れ拒否
団体が破綻した、または受け入れ態勢が整っていないなどで、寄付を拒否されるケースもあります。その場合、財産が宙に浮くリスクもあるため、予備的な寄付先を設定しておくのが安全です。
(3)団体の信頼性に問題がある
中には、会員組織や民間団体の中で内部資格を設け、「相談料ビジネス」に誘導する例も見られます。寄付金が適切に使われないリスクもあるため、慎重な団体選びが不可欠です。
6. まとめ:遺贈寄付を実現するには「準備」と「確認」がカギ
遺贈寄付は、故人の思いを社会に残す素晴らしい手段ですが、適切な準備と専門的な確認が不可欠です。
遺言書の作成、受け入れ団体との事前調整、遺贈執行者の選任など、どの工程も「生前にこそ」進めておくべき重要なステップです。

次回(第3回)は、こうした制度の拡大とともに問題視され始めた「遺贈寄付をめぐる制度的な課題」や、「業界内での資格ビジネス化」について掘り下げていきます。
令和7年11月19日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。
相続トラブルは「財産の多い家庭」だけの問題ではありません。実際には、財産が少ない家庭ほど激しい争いに発展することもあります。その背景には、お金そのものではなく「感情のもつれ」があります。本記事では、相続を巡る"見えないリスク"を司法書士の視点から解説します。
「生前対策はまだ早い」と思っていませんか。健康で元気なうちは必要ないと考える方は少なくありません。しかし、突然の病気や判断能力の低下は誰にでも起こり得ます。先送りによるリスクを直視し、いまからできる備えについて司法書士の視点で解説します。
近年、「司法書士はAIに取って代わられる」「将来性がない」といった言説を目にする機会が増えました。
確かに、登記申請や書類作成といった"定型業務"にAIが活用され始めており、「自動化が進む=仕事が減る」と感じる人がいても不思議ではありません。
しかし、実際に司法書士の現場で起きている変化を見てみると、単純に「なくなる職業」と言い切ることはできません。
本記事では、AIと司法書士業務の関係について、現場の動きや業務構造の変化をもとに、できるだけ客観的に整理してみます。