【第8回】相続人がいない場合、財産はどうなる?知っておきたい「特別縁故者」と生前対策
相続人がいない場合、財産は最終的に国庫へ帰属します。ただし生前に関係の深い人がいれば"特別縁故者"として請求できる可能性も。独身や子どものいない方のために、司法書士が制度と対策を解説します。
相続人がいない場合、財産は最終的に国庫へ帰属します。ただし生前に関係の深い人がいれば"特別縁故者"として請求できる可能性も。独身や子どものいない方のために、司法書士が制度と対策を解説します。
📑目次
1. 相続人がいないと、財産はどうなる?
亡くなられた方に、法定相続人(配偶者・子・親・兄弟姉妹など)が誰もいない場合、その方の財産はどうなるのでしょうか?
▶️ 結論:最終的には「国のもの」になります。
相続人がいないと判断された場合、遺産は家庭裁判所の選任した「相続財産管理人」が調査・整理し、一定期間の公告後、残余財産は**国庫に帰属(没収)**されます。
つまり、何もしなければ、どんなに親しかった知人や介護していた人にも財産は渡らないということです。
2. 特別縁故者とは?制度の概要
そこで用意されている救済制度が、「特別縁故者に対する財産分与」制度です。
これは、相続人がいない場合でも、
亡くなった方と生前特別に親しかった人や世話をしていた人に対して、
家庭裁判所の審査を経て、遺産の一部または全部を取得できる制度です。
▶️ 制度の根拠
民法第958条の3:「特別縁故者に対する相続財産の分与」
この制度により、亡くなった方が支援を受けていたり、身の回りの世話をしていた人が救われるケースもあります。
3. 特別縁故者に該当する人・しない人
制度の運用は厳格で、「何となく仲が良かった」というだけでは該当しません。
以下のようなケースでは、特別縁故者として認められる可能性があります。
✅該当が認められやすい例
❌該当が難しい例
※制度の運用は家庭裁判所が行い、**客観的証拠(介護記録、通帳、写真等)**が必要です。
4. 手続きの流れと必要書類
特別縁故者として財産分与を受けたい場合、次のような手続きを行います。
📌手続きの流れ
📌必要書類の一例
※すべてを自力で整えるのは難しいため、司法書士のサポートが効果的です。
5. 認められないケースと注意点
特別縁故者制度は"温情制度"のように思われがちですが、実際には審査が厳しく、不認可となる例も少なくありません。
❗注意点
そのため、生前に「遺言書」や「死後事務委任契約」で意思表示しておくことが、もっとも確実です。
6. 生前にできる対策(遺言・死後事務委任等)
相続人がいない方にとって、生前の準備が何よりも大切です。
以下のような手続きを行うことで、ご自身の意思を形に残すことができます。
✅自筆証書遺言/公正証書遺言
「○○さんに財産の一部を渡したい」と書面で遺す方法。
公正証書で作成すれば、偽造や紛失のリスクがありません。
✅死後事務委任契約
亡くなった後の事務手続き(葬儀・納骨・家の片づけなど)を
信頼できる人に委任する契約です。
報酬と財産の一部を支払う形にしておけば、特別縁故者としての認定にもつながりやすくなります。
✅家族信託(+任意後見)
元気なうちに財産管理を託しつつ、死後も受託者に事務処理をお願いする形で準備できます。
制度同士を組み合わせることで、より柔軟な備えが可能です。
7. 無料相談・終活支援のご案内
「相続人がいないかもしれない」「財産を託したい人がいる」
そんな方のために、当事務所では司法書士による**生前対策の無料相談(予約制)**を承っています。
また、相続や信託、贈与、税務のことまで相談できる合同無料相談会もございます。
📌【1】司法書士による無料相談(予約制)
📌【2】税理士との合同無料相談会(毎月第3水曜開催)
8. まとめ:ご自身の意思で「財産の行き先」を決める時代へ
相続人がいない=すべて国のものになる…
そんな結果を避けたいのであれば、ご本人が元気なうちに意思表示をすることが一番大切です。
「介護してくれたあの人に遺したい」
「お世話になった施設に寄付したい」
そんなお気持ちも、法的に有効な形で残すことができます。
誰のためにも、自分のためにも。
司法書士として、**"想いをつなぐ終活"**をサポートいたします。
📞 無料相談は087-873-2653/WEBフォームでも受付中
📅 相続・遺言・登記の不安は第3水曜の無料相談会へ(087-813-8686)
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