なぜ人は他人の失敗を喜ぶのか?心理学で解説する「シャーデンフロイデ」の正体

2026年06月20日

有名人の不祥事が報じられたとき。

仕事でライバルだった人が失敗したとき。

いつも自慢ばかりしていた知人が困っていると聞いたとき。

表向きには心配しながらも、どこか安心したり、少しスッキリした気持ちになった経験はないでしょうか。

こうした感情は決して珍しいものではありません。

心理学では、この「他人の不幸を喜ぶ感情」を「シャーデンフロイデ」と呼びます。

一見すると性格の悪い感情のようにも思えますが、実は多くの人が持つごく自然な心理現象です。

では、なぜ人は他人の失敗を喜んでしまうのでしょうか。

今回はその理由について考えてみます。

目次

  1. 他人の失敗を喜ぶ心理とは
  2. シャーデンフロイデとは何か
  3. なぜ人は他人の失敗を喜ぶのか
  4. 比較社会が生み出す嫉妬
  5. SNS時代に感情が強くなる理由
  6. 他人の不幸を喜ぶことは悪なのか
  7. まとめ

1. 他人の失敗を喜ぶ心理とは

結論から言うと、人が他人の失敗を喜ぶのは「自分の価値を確認したい」という心理が働くためです。

人間は社会的な生き物です。

自分の能力や立場を評価するとき、絶対的な基準ではなく、他人との比較によって判断する傾向があります。

例えば、テストの点数や仕事の成果について考えるとき、自分だけを見て評価する人は少ないでしょう。多くの人は周囲と比較し、自分の位置を確認しています。

そのため、自分より優れていると思っていた人が失敗すると、相対的に自分の立場が上がったように感じます。

このとき、人は安心感や満足感を得ることがあります。

これが他人の失敗を喜んでしまう心理の入り口です。

2. シャーデンフロイデとは何か

シャーデンフロイデとはドイツ語で、

「シャーデン(損害)」
「フロイデ(喜び)」

を組み合わせた言葉です。

直訳すると「他人の不幸を喜ぶこと」になります。

心理学の研究では、この感情は特殊なものではなく、多くの人に見られることが分かっています。

つまり、

「こんなことを思う私は性格が悪いのではないか」

と過度に悩む必要はありません。

もちろん、他人の不幸を積極的に望むことは問題ですが、一瞬心の中に安心感が生まれること自体は、人間の自然な感情の一つと考えられています。

重要なのは感情の有無ではなく、その感情にどう向き合うかです。

3. なぜ人は他人の失敗を喜ぶのか

理由の一つは競争です。

学校では成績を比較されます。

社会に出れば収入や地位を比較されます。

人は知らず知らずのうちに他人との競争の中で生きています。

特に自分より成功している人を見ると、

「負けている」
「追いつけない」

という感情が生まれることがあります。

その相手が失敗したとき、人は無意識に安心するのです。

これは意地悪だからではありません。

自分の自尊心を守ろうとする心理的な働きなのです。

言い換えれば、自分の価値が下がったように感じていた状態から解放されるため、人は一時的な安堵感を覚えるのです。

4. 比較社会が生み出す嫉妬

人間関係の悩みの多くは比較から生まれます。

例えば、

  • 同級生の出世
  • 友人の結婚
  • 知人の成功
  • 同僚の昇進

これらは本来、自分とは直接関係のない出来事です。

しかし比較が始まると話は変わります。

「あの人は成功しているのに、自分はどうだろう」

そう考え始めた瞬間、心の中に劣等感や嫉妬が生まれます。

嫉妬という感情は誰にでもあります。

問題は嫉妬そのものではなく、嫉妬を認めたくないことです。

認めたくない感情は心の奥に押し込められます。

そして、その対象が失敗したときに、

「少し安心した」

という形で表面化することがあります。

シャーデンフロイデは、実は嫉妬と深く結びついているのです。

5. SNS時代に感情が強くなる理由

近年、この感情が強くなっていると言われています。

その大きな理由がSNSです。

SNSでは他人の成功ばかりが目に入ります。

豪華な旅行。

楽しそうな家族写真。

昇進報告。

高級レストランでの食事。

新築住宅の完成報告。

もちろん現実には失敗や悩みもあるはずです。

しかし多くの人は、見せたい部分だけを発信します。

その結果、見る側は無意識のうちに、

「みんなは幸せそうなのに、自分だけがうまくいっていない」

という錯覚を抱くことがあります。

比較が増えれば増えるほど、嫉妬も増えます。

そして成功者の失敗や炎上に強く反応するようになるのです。

SNS時代は、シャーデンフロイデが生まれやすい環境とも言えるでしょう。

6. 他人の不幸を喜ぶことは悪なのか

ここで誤解してはいけないのは、感情そのものと行動は別だということです。

一瞬、

「少し安心した」

と思うことはあるかもしれません。

しかし、それを理由に誹謗中傷したり、集団で攻撃したりすることは全く別の問題です。

感情は自然に生まれます。

しかし行動は選ぶことができます。

大切なのは、

「なぜ自分はそう感じたのだろう」

と考えることです。

その感情の奥には、

  • 認められたい気持ち
  • 負けたくない気持ち
  • 不安
  • 劣等感

が隠れていることがあります。

感情を否定するのではなく、自分自身を理解するきっかけにすることが重要です。

7. まとめ

なぜ人は他人の失敗を喜ぶのか。

その理由は、人間が他人との比較の中で生きる社会的な存在だからです。

心理学では、この感情をシャーデンフロイデと呼びます。

決して珍しい感情ではありません。

比較社会やSNSの普及によって、その感情は以前より強く刺激されるようになっています。

しかし大切なのは、その感情に支配されないことです。

他人の失敗によって得られる満足感は一時的なものです。

本当の意味で心が満たされるのは、他人との比較ではなく、自分自身の成長を実感できたときではないでしょうか。

次回は、「他人の失敗を喜ぶ心とどう向き合うべきか」について考えてみたいと思います。

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