事業承継(同族会社)①3円モデルを使った分析
同族企業の経営者の皆様方に向けた、「事業承継」を急ぐべき理由の一つとしてあげられる企業に関係する方たちを表す3円モデルについて解説いたします。
- ファミリー(創業家)
- 所有者(株主)
- ビジネス(経営者)
通常の会社では、「所有者(株主)」と「ビジネス(経営者)」の2つなのですが、同族会社におきましては、「ファミリー(創業家)」を加えた3つの種類に分類されるのですが、これらが重なり合う方たちの存在もあります。非常に複雑になってくるのが常です。
一族が結束しているときは「求心力」が働き、事業はスムーズに流れますが、「遠心力によるリスク」が存在します。6つのⅮ(IMD Schwass名誉教授提唱)と呼ばれるものです。
- Divorce(離婚)
- Departure(一族からの離脱)
- Deterioration(一族の関係悪化)
- Death(一族のリーダーの死)
- Dis-interest(事業への無関心)
- Distrust(不信)
これらが発生することにより、ファミリー(創業家)は個としての多様性(それぞれが自分の考えで行動すること)を求めるようになり、所有者(株主)はリスクの分散を考えて行動するようになる。ビジネス(経営者)は、ビジネスの成長を目指すが、これらがビジネスの成長を阻害してしまうケースが出てくるわけです。
「長く繁栄する同族企業の条件(西川盛郎著)」では、上記のリスクに備え、ファミリーでは「ファミリーガバナンス」「ファミリーコミュニケーション」を強化し、所有者は「オーナーガバナンス」「リスクマネジメント」をとることで、経営者は「企業価値向上戦略」「経営革新の実施」ができるようになると書かれています。ファミリー、所有者がバラバラな行動をとる中で、経営者が企業価値を高めるなんてことは非常に困難になります。特に、ファミリーのコンセンサス(意見の一致)を確立していなければ、承継者に引き継ぐべき財産をその他の相続人との分配により、失ってしまうリスクもありますので注意が必要です。
ここで出てくるのが「事業承継問題」なのです。これには、経営者の高齢化が影響しています。中小企業白書(2017年)には、1995年経営者の45-50歳だったものが、2015年には65歳がピークになっています。つまり、ただ単に経営者の年齢が上がっているだけなんです。人間は無限に生きられるわけではありませんので、「事業承継」という課題が出現するのです。
2025年の日本企業は381万社と言われています。全部が存続していると仮定して、70歳未満の日本企業は、136万社になり、70歳以上の日本企業は、245万社でありその半分が後継者未定という問題があります。ですので、127万社廃業時代と言われています。これが現実化すると、650万人の雇用が失われ、22兆円のGDPが失われると言われています。
ここまで見ていただければ、事業承継の重要性が理解できると思います。
以前、私も社長の平均年齢の推移や承継者不存在率など、リサーチ会社のデータを見ていたのですが、経営者60歳以上の承継者不存在率は、全国平均が約60%であるのに比べて香川県は約48%と低い水準を保っています。しかし、それでも約半数の企業様においては、承継者不存在が課題になっているとも言えます。
具体的に親族内外での事業承継に関しましては、約5年から10年ぐらいはかかりますので、経営者の皆様、今こそ「事業承継」を考えてみませんか?
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