令和6年2月21日「成年後見制度見直し」有識者らの研究会が報告案まとめる

2024年03月06日

認知症になった方の財産を管理するための「成年後見制度」ですが、現行の制度では問題点もあるため、改正の動きが出ているようです。随分前から「スポット後見」などの要望があり、これらを現行制度に取り入れようとする話は聞いたことがあったのですが、動きがあったみたいです。

目次

1.成年後見制度(法定後見制度)とは

2.成年後見制度の何が問題なのか

3.令和6年1月法務省「成年後見制度の見直しに向けた検討」内容

4.まとめ


1.成年後見制度(法定後見制度)とは

 「認知症、知的障害、精神障害などの理由で、ひとりで決めることが心配な方々は、財産管理(不動産や預貯金などの管理、遺産分割協議などの相続手続など)や身上保護(介護・福祉サービスの利用契約や施設入所・入院の契約締結、履行状況の確認など)などの法律行為をひとりで行うのがむずかしい場合があります。

 また、自分に不利益な契約であることがよくわからないままに契約を結んでしまい、悪質商法の被害にあうおそれもあります。

 このような、ひとりで決めることに不安のある方々を法的に保護し、ご本人の意思を尊重した支援(意思決定支援)を行い、共に考え、地域全体で明るい未来を築いていく。それが成年後見制度です。」(厚生労働省HP引用)

2.成年後見制度の何が問題なのか

 包括的な問題として、多様性がうたわれている現状で、認知症発症後の制度が、「現行の成年後見制度」一択という状況になっていて、その成年後見制度が使いにくいものであることが挙げられます。どのような点が使いにくいのかというと、

 ①利用動機の課題

  例えば、遺産分割協議に参加するために成年後見制度を利用した場合、遺産分割協議が終わっても、亡くなるまで成年後見人が就いた状態になってしまい、弁護士・司法書士が就任している場合、その分の報酬が発生してしまう点。

 ➁成年後見人の包括的な取消権・代理権

  成年後見人(財産の処分等には、家庭裁判所の許可が必要)のこれらの権限により、本人の意思を必要以上に制限してしまうことがある点。

 他にも、問題点が挙げられていましたが、主には上記の2点が、成年後見制度が使い辛い原因になっていると思います。特に、①に関しては、遺産分割協議のためだけに親族を候補者として申請しても、成年後見人を選任する権限は家庭裁判所にあるため、専門家である弁護士・司法書士が選任される場合もあります。そうすると、報酬が亡くなるまで発生しますし、制度趣旨が「本人の財産の保護」ですので、ご家族の意向にマッチしないことも発生する可能性があります。

3.令和6年1月法務省「成年後見制度の見直しに向けた検討」内容

(画像 法務省HP引用)

2①➁の内容を含めて、大きく4つの項目について(他に検討事項もあります)、書かれています。私的には「法定後見制度における開始、終了等に関するルールの在り方」に、注目をしています。

 他にも、私の老人ホームの施設長だったころの経験から、認知症と言っても、その症状は様々です。軽度の者から重度のものまで様々です。かなり進んでいても、日によっては正常に戻る時があったりします。おそらくこういった内容も含まれて来るとは思います。

4.まとめ

 実務において、遺産分割協議の際に相続人の中に認知症の方がいた場合、成年後見制度を申請するかどうかで悩まれる方を数多く見てきました。その原因というのが、今回の「主な検討テーマ」に含まれる内容です。今回の制度改正で、より使える成年後見制度になってほしいと思います。

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