令和6年4月1日相続登記義務化(相続登記未了のデメリットは過料だけなのか?)

2023年10月26日

令和6年4月1日から始まる相続登記義務化ですが、相続を知ったときから正当な理由なく3年の間相続登記をしない場合には、罰則である最大10万円以下の過料の対象になることは皆さまもご承知の通りだと思います。果たして、デメリットは過料だけなのでしょうか?わかりやすく解説していきたいと思います。

目次

1.相続財産である建物や土地を売却できない

2.不動産を担保として融資を受けられない

3.固定資産税負担のリスクがある

4.二次相続で相続人の数が膨れ上がる

5.残された家族に相続人調査の負担がのしかかる

6.相続財産が差押えを受ける可能性がある

7.まとめ


1.相続財産である建物や土地を売却できない

 最大のデメリットと言ってもいいでしょう。売買で取引の契約を締結する場合には、実在している方でないとなれません。すでに亡くなっている方は権利者にはなれないのです。ですので、登記簿上で相続登記をして権利者を決めないと、その後売買はできないということになります。しかし、私は、法定相続分での共有で相続登記をすることを勧めておりません。なぜなら、その手続きの間に、さらに相続が発生する可能性があるからです。また、共有の場合、売買をするときは共有者全員の同意が必要となりますが、心境の変化などで反対する方が出てくる可能性もあります。ですので、できる限り遺産分割協議を経て、所有者を相続人のお一人に決めていただくようにしております。

2.不動産を担保として融資を受けられない

 1.と同じことなのですが、融資を受けるにはその権利が必要です。相続人が融資を受けても、相続財産で帰属がはっきりしない(相続登記が未了の)不動産に担保権を設定することはできませんので、結果、融資を受けれないということになります。

3.固定資産税負担のリスクがある

 固定資産税は、毎年1月1日時点での固定資産の所有者に課されるものですが、相続登記が未了の場合ですと、相続人のどなたかに納税通知書を送付することになりますが、相続人全体の連帯債務として扱われるため、送付先の相続人が納税をしない場合には相続人全体で連帯して責任を負うことになります。不動産の帰属先を明確にするためにも、相続登記は必要になります。

4.二次相続で相続人の数が膨れ上がる

 二次相続とは、登記簿の名義人のまま相続登記を放置すると、その子、孫の代での相続が発生してしまい、相続人の調査が膨大になる可能性があります。そうなった場合、専門家に依頼すると、調査費用は高額になってきます。相続が発生した場合、早めの相続登記が必要な理由です。

5.残された家族に相続人調査の負担がのしかかる

 4.と同じ状況なのですが、相続が膨大になっていることに気づいていないそうおz九人の方が、ある日、自分の住んでいる土地家屋が、何代も前の名義人であることが判明した場合、相続人の調査は専門家に任せたとしても、遺産分割協議などの手続きについては、当該相続人が行わなければならなくなります。戦後の民法では、名義人の子・孫・・・は、すべて相続人としての権利があります。そして、遺産分割協議は、相続人全員が参加しなければ無効となってしまいます。金銭的な負担もそうなのですが、こういった手間の負担が大きいと思います。

6.相続財産が差押えを受ける可能性がある

 相続人が法的な義務を履行しない場合、差し押さえを受ける危険があります。例えば相続税の申告・納税期限は相続の事実を知ったときから起算して10カ月以内です。遺産分割協議がまとまらずこの期限を超過してしまうと、税務署から相続した不動産の差し押さえを受ける可能性があります。差し押さえが行われるのは、督促を無視して延滞を続ける等の特別な事情があるケースにかぎられます。この場合、相続登記がない以上、意義は認められないため注意が必要です。

 また、相続税以外にも、金融機関等から受けた融資の返済期限を守らなかったときにも差し押さえを受ける場合があります。権利が実行されるとご自身はもちろん、他の相続人も相続財産を失ってしまう可能性があります。

 また、相続人の一人が持分を売却したり、債権者に相続分を担保に提供した場合も同じく、持分を差し押さえる過程で、遺産である不動産について、債権者は「代位申請」で法定相続分での登記を実施し、その持分に差押えが入る可能性があります。

7.まとめ

 相続登記義務化による罰則だけが、相続登記をしなかった場合のリスクではないことがお分かりいただけたと思います。

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