令和6年4月1日相続登記義務化(相続登記義務化の対象範囲)

2024年02月13日

相続登記義務化の施行日に近づくごとに、問い合わせが増えています。その中で、ご質問が多い「義務化の対象範囲」について、再度、解説をしたいと思います。

目次

1.相続登記義務化の発端

2.相続登記義務化の対象範囲

3.まとめ


1.相続登記義務化の発端

 Q1.知りませんでした!不動産(土地・建物)の相続登記が義務化されるのはなぜですか?

 「相続登記がされないため、登記簿を見ても所有者が分からない「所有者不明土地」が全国で増加し、周辺の環境悪化や公共工事の訴外など、社会問題になっています。この問題解決のため、令和3年に法律が改正され、これまで任意だった相続登記が義務化されることになりました。」(法務省パンフレット引用)

 東日本大震災後の復興作業の際、土地の所有者を特定するために大変苦労したということがあったみたいです。実際に、仙台などで各地の司法書士を臨時の公務員として雇い、相続人の調査を行い所有者を特定していったという話を聞きました。そのため、復興作業が大幅に遅れたそうです。この時問題になったのが、任意である相続登記の放置です。現在、所有者不明土地の面積は、九州と同じ面積だそうです。これが原因となり、今回の相続登記義務化の流れになっています。

2.相続登記義務化の対象範囲

 Q2.相続登記の義務化とは、どういう内容ですか?

 「相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得できたことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが法律上の義務になります

  正当な理由がないのに相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

  遺産分割の話し合いで不動産を取得した場合も、別途、遺産分割から3年以内に、登記をする必要があります。」(法務省パンフレット引用)

 Q3.義務化が始まるのはいつからですか?始まった後に、対応すれば大丈夫でしょうか?

 「「相続登記の義務化」は、令和6年4月1日から始まります。ただ、今から備えておくことが重要です。

  また、令和6年4月1日より以前に相続した不動産も、相続登記がされていないものは、義務化の対象になります(3年間の猶予期間があります。)ので、要注意です。」(法務省パンフレット引用)

 これらの質問で、不動産の対象範囲が土地だけだと勘違いされている方が、意外に多いです。おそらく、相続登記義務化の発端となったのが「所有者不明土地問題」だからだと思いますが、相続登記義務化の対象範囲は、不動産(土地・建物)です

 質問内容にもあったのですが、義務化が始まってからやればいいというお話がありましたが、今元気な方でも、時間の経過により状況は変わってきます。亡くなった場合には、さらに相続人が増えるケースや、認知症などになってしまい、遺産分割協議の際に成年後見人の申請が必要になったりする場合があります。相続人の調査や成年後見人を就けるにも、それなりのコストが発生してしまいます。早めの対処が、「安心」をもたらしてくれます。早めに相続の対応をするように心がけてください。

3.まとめ

 「相続登記義務化」のキーワードを知っていても、その中身まで詳しく知っている方はなかなか見たことがありません。アイリスでも、相続無料相談や相続法律・税務無料相談会、無料セミナーなどを通じて、啓蒙活動を実施しております。

 身近の人や親せきの方で専門家以外の方は、専門家ではありません。

 以前、ご相談を受けた際、かたくなに相続登記は土地だけでいいとおっしゃる方がいました。どうして、土地だけなのか聞いてみますと、「詳しいおじさんが、土地の名義だけ変更すれば義務は免れると言っていた。」とおっしゃっていました。そこで、法務局が出しているパンフレットを見せて、相続登記義務化の範囲が不動産(土地・建物)であることを伝えると、両方相続登記をしてくださいという話になりました。

 このように、情報ソースを誤ると誤った判断のもとに行動してしまう恐れがありますので、専門家への相談を必ずするようにしてください。

最新のブログ記事

令和6年11月20日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。

行政書士と司法書士は、どちらも法律に関する業務を取り扱う専門家ですが、それぞれの業務内容や専門分野に違いがあります。特に相続において不動産が含まれる場合、登記に関わる手続きが発生するため、司法書士に依頼することが適切です。以下では、行政書士と司法書士の業務内容の違いを説明し、不動産相続において司法書士が果たす役割について詳しく解説します。

<