会社法人の代表者を「定款の定めによる役員の互選」により選定する場合

2023年06月30日

新年度に入り、法人顧客からの役員変更の依頼がありました。その中で最も多かったのが、代表者の入れ替え、若しくは代表者が退任された後の役員変更でした。通常は、新任の役員の就任登記が一般的なのですが、今回は代表者変更の登記が多かったので、この場合の注意点について解説したいと思います。

目次

1.会社法人の代表者の選任方法

2.代表者変更に伴う変更登記

3.代表者変更に伴う変更登記の添付書類

4.まとめ


1.会社法人の代表者の選任方法

 会社・法人とは、株式会社から始まり、NPO法人や一般社団法人など世の中にあるものすべてに当てはまります。その代表者(例えば、株式会社なら代表取締役)の選任方法は、いくつかあります。

 ①株主総会で定める(取締役会の有無にかかわらず、定款に定めればできます)

 ➁定款に定める(定款に具体的な住所氏名を記載します)

  ※定款の変更になりますので、株主総会の開催が必要です。

 ③定款の定めによる役員の互選(取締役会のない株式会社で、代表を選定する方法の一つになります)

 今まで受任した取締役会のない比較的小さな株式会社や有限会社、理事会のない一般社団法人などでは、「③定款の定めによる役員の互選」が、定款に記載されていることが圧倒的に多いです。なぜかはわかりませんが。

2.代表者変更に伴う変更登記

 代表者が辞任した場合、任期満了に伴い退任した場合、辞任した場合、株主総会などで解任された場合、死亡した場合など理由は様々です。その場合、登記の原因も変わってきます。

 また、代表者の資格は、基である取締役や理事の資格の上に成り立ちますので、基の資格である取締役・理事の資格を失えば、自動的に代表者の資格も無くなることになります。この場合の記載は「年月日 代表取締役A資格喪失により退任」となります。これ以外は「年月日代表取締役A退任(辞任、解任、死亡)」となります。

※私は、解任で登記する場合には、実態調査も必要以上に確認することにしています。解任とは、何らかの負の原因があったためにするもので、解任された方の今後の再就職先への影響が及ぶためです。

3.代表者変更に伴う変更登記の添付書類

 ①株主総会で定める

  ㋐株主総会議事録

  ㋑株主リスト

  ㋒就任承諾書

  ㋓印鑑証明書

 ➁定款に定める

  ㋐定款

  ㋑株主総会議事録

  ㋒株主リスト

  ㋓就任承諾書

  ㋔印鑑証明書

 ③定款の定めによる役員の互選

  ㋐定款

  ㋑株主総会議事録(初めて代表者が役員として選任された場合)+互選書

  ㋒株主リスト(初めて代表者が役員として選任された場合)

  ㋓就任承諾書

  ㋔印鑑証明書

 取締役会や理事会のない会社法人の場合、役員選任の段階で、本人の意思の確認のために就任承諾書に実印による押印と印鑑証明書が必要となります。(監査役・監事の場合には少し異なります。あくまで取締役・理事についての解説となります。)

 ここで、注意しなければならないのが、代表選定にかかわった方たちの印鑑の押印と印鑑証明書になるのですが、原則実印による押印が必要です。例外として、元の代表者が、会社の代表印で押印している場合には、認印でも構わないとのことですが、今回のケースでは、代表者がいなくなっているので、原則に基づき実印での押印と印鑑証明書の添付が要求されます。

4.まとめ

 代表者が変わるタイミングでの役員変更登記について解説してきました。登記の原因と添付書類には、特に注意が必要となります。

 司法書士にご相談されて、いろいろとヒアリングを受ける機会もあるかもしれませんが、商業登記では、「実態」の確認と「本人の意思」の確認が必ず必要になってきます。公正な登記手続きを実現するためですので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

最新のブログ記事

令和6年6月19日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。

先日、令和6年5月3日の東京新聞に「ルシアンホールディングズの詐欺事件」にM&A仲介会社が深く関与していたとして、詳しく取り上げられていました。ルシアン側が買主となり、業績の悪い中小企業の買収をにおわせ、「企業再生するのが得意」と言いながら、企業のキャッシュを根こそぎ持っていきました。なぜ、このような事件が起こってしまったのか、現状のM&A仲介の背景や問題点について解説したいと思います。

相談の中に、「身元保証サポート」を家族の一人が利用したばかりに、おかしなことになっているというものがありました。以前、身元保証サポートの問題点として、「亡くなった後の遺産がサービス提供者へ渡っている」点をい適していましたが、今回は、ご家族がいるのに、何らかの原因で身元保証サポートを利用するとどのようなことが起こるのか、お話したいと思います。

熟慮期間(相続開始を知った時から原則3ヵ月以内)に相続人が相続放棄または限定承認の手続きをしなかった場合や、相続放棄後、相続人が相続財産の全部または一部を処分した場合などに、相続人が当然に相続を単純承認(被相続人の権利義務を無制限かつ無条件に承継)したものとみなされる制度となります。知らない間に、せっかく手続きをした相続放棄や限定承認が無駄になります。そうならないためにも、判例等の事例を解説いたします。

<