備忘録として、抵当権抹消の登記は不動産の共有者の1人から申請できるのか?
今回の話は、抵当権抹消時に設定されている不動産の共有者の一人から登記の申請ができるものかどうかという話です。相続登記で、相続人複数の場合そのうちの一人からの申請ができるのはよく取り扱うので知ってました。これは、民法252条但し書きで、保存行為としてできるもの。抵当権の抹消の場合、2人の共有の不動産所有で、そのうち1人が病院・介護施設に入所していれば、現状面談はほぼ不可能に近い状態です。残った1人で抵当権抹消の登記申請は、できるのでしょうか。
結論として、同じく保存行為として、共有者の一人から申請することができます。
条件なども特になく、司法書士に依頼する場合も、共有者の一人だけが委任状を書けば、他の共有者の関与なく登記申請ができます。
それでは、共有者の一人から申請できないケースとして以下の事例が挙げられます。
- 自宅の土地建物に抵当権設定されている
- 建物はAとBの共有
- 土地はAの単独所有
→土地建物について、Bのみを申請人として抵当権抹消の登記申請はできない。
→AB2人またはAのみを申請人とする登記は可能ですが、Bのみを申請人とする登記はできません。
土地だけを見れば、「所有者が関与しないまま登記をすることはできない」という当然の話なのですが、複数の不動産をまとめて登記する場合は意外と見落としがちですので注意する必要があります。
(申請書の書き方)
ここがポイントになります。通常の申請とは少し異なります。
①AB2人で依頼される場合
権利者
〇〇市〇〇町〇〇番地 A
〇〇市〇〇町〇〇番地 B
となります。
➁Aのみで依頼される場合(今回のケース)
権利者
〇〇市〇〇町〇〇番地 (申請人)A
〇〇市〇〇町〇〇番地 B
となります。申請される人の氏名の前に「(申請人)」が必要になります。
当然、権利者の1人からの申請となるので、申請人以外の権利者の委任状は不要になります。
(抵当権抹消の登記は司法書士にご相談ください)
住宅ローンを完済したのちに、金融機関から抵当権抹消登記に必要な書類を預かったものの、どうすればいいのかよくわからない場合には、是非、当事務所にご相談ください。ご相談自体は無料です。登記に係る報酬は1万2000円(税抜)からとなっております。