備忘録として、旧法適用時の錯誤の取り扱い

2022年10月31日

 2020年4月1日施行の改正民法では、意思能力の瑕疵(錯誤)についての重要 ... として錯誤の効果を「無効」から「取消」に変更しています。つまり令和2年4月1日から、登記原因が変わります。 

登記申請時に、所有権抹消登記をするときに、登記原因を「錯誤」としたことによる登記申請取り下げの話が、登記所から連絡が来ました。確かに登記原因証明情報には、錯誤により所有権移転の抹消を申請する旨の記載をしていました。しかし、事実上で当該齟齬が生じたのは、平成9年の時であり、その旨の記載をしていないために、今回の登記申請の取り下げを言ってきたものと考えられます。そこで、錯誤がすでに平成9年に発生していたものとして、登記原因証明情報に加筆し、その旨を登記官に話をしたところ、本件登記が受理されたというもの。

今回の件の考え方で、よくわからなかったこととして、錯誤が無効から取消に変わったのは令和2年4月1日からであるので、令和2年4月1日以前に起こった錯誤の取り扱いを登記原因照明情報に記載できるものとして、実際の申請書は、「錯誤」なのか「年月日取消」なのか、悩ましいところでした。

実際、ネットを調べても、明確にこの申請内容を明確に記載したものはありませんでした。確かに旧法適用時点での内容であれば、申請の登記原因も「錯誤」とすべきであることが明確になりました。

しかし、登記所により取り扱いが異なる場合がある可能性がありますので、事前に相談しておいた方がいいかもしれません。

こんなブログもありました。

民法改正により錯誤は取消事由になりました。改正前は無効事由だったので、登記原因は「錯誤」から「年月日取消」になります。

 また、登記原因証明情報の「登記の原因となる事実又は法律行為」として記載する内容が変わりますね。具体的にはこんな感じです。

(1)令和元年5月1日、売主Aと買主Bは本件不動産につき売買契約を締結し、所有者をBとする旨の所有権移転登記(令和1年5月1日受付第5151号)を経た。

(2)本件売買契約は、本件不動産から徒歩1分のところに新駅ができる計画が進捗していることを前提に、新駅計画前の相場と比べて著しく高額な金額で契約した。ところが、実際は契約時点で新駅ができる計画が中止され、再開される見込みがなかったため。令和元年6月30日、買主Bは錯誤を理由に本件売買契約を取り消した。

(3)よって、本件不動産の所有権は、契約時に遡及してAに帰属したため(1)のB名義の所有権移転登記を抹消する。

 今後、贈与による所有権移転登記の抹消登記の依頼があると考えられます。そのため、手元にある書籍に目を通してみたのは言うまでもありません。(終)」

しかし、この内容の期間は旧法ですので、今回の話からすると「錯誤」とすべき案件だと考えます。

何が正解なのかよくわかりませんね。

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