全国企業「後継者不在率」動向調査(時事ドットコム記事引用)

2022年11月17日

後継者不在率、初の60%割れ 後継候補「非同族」が初のトップ、事業承継は「脱ファミリー」化が加速(時事ドットコム記事引用)(記事内データ提供PRTIMES)

「 地域の経済や雇用を支える中小企業。しかし、近年は後継者が見つからないことで、事業が黒字でも廃業を選択する企業は多い。日本政策金融公庫の調査では、60歳以上の経営者のうち50%超が将来的な廃業を予定。このうち「後継者難」を理由とする廃業が約3割に迫る。

 後継者が不在であるなか、新型コロナウイルスによる業績悪化などが追い打ちとなり事業継続を断念する事例も想定され、その回避策としての事業承継支援が今まで以上に注目されている。中小企業庁は2022年3月、従業員承継や第三者承継(M&A)、「引き継ぎ手」により焦点を当てた「事業承継ガイドライン」を新たに改定、円滑な事業承継に向けたサポートを進めている。

<調査結果(要旨)>

2022年の全国・全業種約27万社の後継者不在率は57.2%となり、コロナ前の2019年からは8.0pt、21年の不在率61.5%からも4.3pt低下し、5年連続で不在率が低下した。また、調査を開始した11年以降、後継者不在率は初めて60%を下回った

2022年の代表者の就任経緯では、買収や出向を中心にした「M&Aほか」の割合が20.3%と、調査開始以降で初めて2割を超えた。具体的な後継候補では、最も高いのは「非同族」の36.1%で、前年を2.9pt上回った。2011年の調査以降、後継者候補は「子供」の割合が最も高い状態が続いてきたものの、初めて「非同族」が首位となった。

2022年の「後継者不在」状況

後継者不在率は初の60%割れ、コロナ前から大幅低下に

日本企業の「後継者問題」が急速に改善へと向かっている。2022年の全国・全業種約27万社における後継者動向について調査した結果、後継者が「いない」、または「未定」とした企業が15.4万社に上った。この結果、全国の後継者不在率は57.2%となり、コロナ前の2019年からは8.0pt、2021年の不在率61.5%からも4.3pt低下し、5年連続で不在率が低下した。また、調査を開始した2011年以降、後継者不在率は初めて60%を下回った。(本ブログの写真参照)」

(参照一時中断)

全国に設置されている「事業承継・引継センター」等が機能して、2025年問題に対する取り組みが効果を現していると考えられます。

それでは、記事の表題にもある「後継候補「非同族」が初のトップ、事業承継は「脱ファミリー」化が加速」について記事を確認していきます。

(記事参照再開)

「就任経緯:同族承継が急落 M&A(買収)などによる事業承継が初の2割突破

2018年以降の過去5年間における事業承継について、先代経営者との関係性(就任経緯別)をみると、2022年の事業承継は「同族承継」により引き継いだ割合が34.0%に達し、全項目中最も高かった。しかし、前年からは4.7ptの低下となり、親族間の事業承継割合は急減している。一方、血縁関係によらない役員などを登用した「内部昇格」が33.9%となり、前年から2.5pt増加した。また、買収や出向を中心にした「M&Aほか」の割合が20.3%と、調査開始以降で初めて20%を超えた。一方で、同じ親族外の承継でも社外の第三者を代表として迎える「外部招聘」は7.5%にとどまった。事業承継は脱ファミリーの動きが鮮明となっているものの、第三者承継は自社社員かM&Aなど他社との吸収・合併によるものに二極化している。

後継者候補属性:「非同族」の割合が初の首位、事業承継で「脱ファミリー」化加速

後継候補が判明した全国約10万社の後継者属性をみると、最も多いのは「非同族」の36.1%で、前年を2.9pt上回った。2011年の調査以降、後継者候補は「子供」の割合が最も高い状態が続いてきたものの、初めて「非同族」が首位となった。「子供」の割合は35.6%で、前年から4.8pt低下した。承継を受けた社長の先代経営者との関係別(就任経緯別)のうち、創業者における「子供」の割合が過去最大の低下を記録したことが影響した。同族承継でも、「子供」の割合が大きく低下、代わって「非同族」の割合が高まっており、ファミリー企業でも「非同族」への事業承継=脱ファミリー化へ舵を切る動きが強まっている。

内部昇格や外部招聘によって社長に就任した企業では、「非同族」の割合が8割超と高く、特に外部招聘では非同族の割合が9割を占めた。

高まる事業承継ニーズ 今後は承継後の経営サポートにも目を向ける必要

日本の企業経営者の平均年齢は60歳を超え、多くが事業承継の適齢期を迎えている。

この間、コロナ前から官民一体となって推し進めてきた事業承継の重要性が中小企業にも浸透・波及してきたことに加え、M&Aの普及や事業承継税制の改良・拡大、金融機関主導の事業承継ファンドなど、多種多様なニーズに対応可能なメニューが揃っていることも、後継者問題の解消に多大な役割を果たしている。今後も、国や自治体による事業承継への働きかけが継続されれば、企業の後継者問題に対する意識が一層高まる形で、不在率は引き続き低下していくものとみられる。

一方、帝国データバンクが集計している「後継者難倒産」は2022年1~10月で408件発生した。10カ月累計で400件を超えたのは初めてで、通年で過去最多を更新するとみられる。近時の後継者難倒産では、代表者が病気や死亡により事業継続がままならないケースが多いなかで、コロナ禍における自社事業の先行きを見据えて、当代で事業を畳む決断を下す「あきらめ」や、後継者の経営手腕・資質を当代社長が認めない、先代からの従業員や取引先との意思疎通が円滑に引き継がれないといった理由で、承継後早期に経営が行き詰まった企業も散見された。

「後継者問題への啓蒙」による、経営者の後継者問題に対する意識改革は確実に成果を上げている。その反面、現状の事業承継は自社内の人材登用か第三者への事業譲渡=M&Aへの偏りもみられる。そのため、今後の事業承継支援は外部人材の登用といった幅広い選択肢の訴求や使いやすさの向上に加え、後継者候補のリサーチや育成、経営幹部人材の紹介・マッチングなど、それぞれの承継ステージや課題感に合った支援メニューの拡充により注力していく必要がある。」(記事終了)

記事の中では、先日のブログにも取り上げたように、帝国データバンクによると、「後継者難倒産」は過去最多を記録しています。その一方で、同族企業が親族内承継から第三者承継にかじを切っている様子がうかがえます。

中小企業庁が打ち出している、事業承継の認定による税制優遇等の措置について、「2024年3月31日までに認定された企業」が対象となっています。事業承継を考えておられる経営者の皆様方には、是非、お近くの「事業承継・引継センター」等へのご相談をお勧めいたします。

本ブログは、時事ドットコムの記事の一部を引用しております。さらに詳細については、こちらを参照してください。

<