公正証書遺言による相続登記に必要な書類

2022年10月04日

一般的な公正証書遺言により、「特定財産承継遺言(~相続させる。)」の形式の場合、その対象者が相続人であれば、「相続登記」により単独で所有権の名義の変更ができます。(民法1014条)

対象者が相続人でなければ、「遺贈」となります。遺贈の場合は、共同申請の形式になりますので、注意が必要です。なぜなら、共同相続人全員が義務者になるため、共同相続人全員の印鑑証明書が必要となるからです。当然、代理申請(司法書士に頼む)する場合、委任状にも、共同相続人全員の実印の押印が要求されます。ですので、通常、遺言書には「遺言執行者」を指定するのですが、遺贈を受ける本人を遺言執行者に指定して、「実質単独申請」にすることができるように作成されているケースが多いです。

さて、公正証書遺言も含め遺言書なのですが、遺言者の意思が優先されるケースが、3つ存在します。

1.遺言による分割の禁止がある場合→遺産分割協議はできません。ただし、5年を超えない期間(民法908条)

2.遺言執行者を定めている場合

3.特定財産承継遺言(民法1014条)

です。しかし、不動産の場合、登記を備えなければ、法定相続分までしか対抗できなくなりますので、早期の登記をお勧めいたします。

そして、通常は、相続させる遺言で、指定された方が相続人であれば添付書面は以下の通りです。

1.遺言書

2.遺言者の死亡が確認できる戸籍

3.遺言者の最後の住所を確認できる除票の写し又は戸籍の附票

4.財産を受ける方の現戸籍

5.財産を受ける方の住民票の写し

となります。

それでは、祖父の方が遺言でお孫様を指定され「遺贈」を選択。そのあとに「効力が生じたときにお孫様が相続人の地位にあるときは、「遺贈する」を「相続させる」に読み替える。」とあった場合で、お孫様の親が先に死亡されていた場合、どのような添付書類になるのでしょうか?

このような状態を「代襲相続」と呼びます。当然、親がすでに亡くなっていることを証する書面が必要となります。

上記1~5に加え、「親の死亡を確認できる戸籍謄本」を要します。

遺言によらない相続登記の場合には、亡くなられた方の生まれてから亡くなるまでの戸籍が必要ですが、今回の相続登記には必要ありません。

ただし、注意が必要なのは、申請人が「遺言者の親」「遺言者の兄弟姉妹」「遺言者の甥・姪(代襲相続人)」の場合です。遺言者の孫とは、少し異なります。

①「遺言者の親」

 1.遺言者の出生から死亡までの戸籍・除籍謄本等

 2.遺言者の子の出生から死亡までの戸籍・除籍謄本等

  (遺言者に死亡した子がいる場合)

 3。申請人(親)の戸籍謄本

➁「遺言者の兄弟姉妹」

 1.遺言者の出生から死亡までの戸籍、除籍謄本等

 2.遺言者の子の出生から死亡までの戸籍、除籍謄本等

  (遺言者に死亡した子がいる場合)

 3.遺言者の両親等直系卑属の死亡の記載のある戸籍謄本等

 4.申請人(兄弟姉妹)の戸籍謄本

③「遺言者の甥・姪(代襲相続人)」

 1.遺言者の出生から死亡までの戸籍、除籍謄本等

 2.遺言者の子の出生から死亡までの戸籍、除籍謄本等

  (遺言者に死亡した子がいる場合)

 3.遺言者の両親等直系卑属の死亡の記載のある戸籍謄本等

 4.甥・姪の親(遺言者の兄弟姉妹)の死亡の記載がある戸籍謄本等

 5.申請人(甥・姪)の戸籍謄本

つまり、遺言者の死亡を確認できる戸籍・除籍謄本だけでいいケースは、「お孫様の代襲相続」の時のみです。

今回のブログは、今後の備忘録として記録しました。

たまたま市役所でお会いしたB様、いろいろ確認していただきましてありがとうございます。また、電話で対応いただいたN様本当にありがとうございました。今後とも、がんばってまいります。

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