公正証書遺言の問い合わせ

2023年09月02日

先日、公正証書遺言の問い合わせがあり、対応いたしました。もう一度、公正証書遺言について解説いたします。

目次

1.公正証書遺言とは

2.公正証書遺言の手続き

3.公正証書遺言の公証役場への手数料

4.まとめ


1.公正証書遺言とは

 公正証書遺言とは、日本の法律における遺言の一種です。遺言とは、死後に遺産(財産や財産権利)をどのように分配するかを指示する文書です。公正証書遺言は、特定の要件を満たすことで公証人(公正役場などの公的な場所に勤務する弁護士や司法書士)の前で作成され、証人の立ち会いのもとで署名されます。

 公正証書遺言の主な特徴は以下の通りです:

 ①証拠力の高さ: 公正証書遺言は、公証人や証人の立ち会いのもとで作成されるため、証拠力が高いとされます。遺言書の内容や作成状況に関する紛争が生じた場合、公正証書遺言はその内容が信頼性があるとみなされることが多いです。

 ➁作成の手続き: 公正証書遺言を作成する際には、特定の手続きが必要です。公証人の前で本人が遺言書の内容や意志を述べ、証人も立ち会います。この手続きにより、遺言書が本人の自発的な意思で作成されたものであることが確認されます。

 ③遺産分割の指示: 遺言書には、死後に遺産をどのように分配するかを明示的に指示することができます。遺産の相続人や分配割合、財産の処分方法などを記載することができます。

 ④遺言執行: 死後、公正証書遺言に基づいて遺産分割が行われます。相続人や関係者は、公証人を通じて遺言書の内容に従って遺産を受け取る手続きを行います。

 公正証書遺言は、遺言の有効性を確保し、遺産分割に関する紛争を予防するために利用される一つの手段です。遺言を作成する際には、専門家のアドバイスを受けながら適切な方法で行うことが重要です。ただし、法律や制度は変化する可能性があるため、最新の情報を確認することも大切です。

2.公正証書遺言の手続き

 まずは、遺言者の状態を確認します。認知症が進んでいる状態で、公証役場での手続きの「公証人からの意思確認」の際、しっかり意思表示できる状態でなければ、公証役場では取り扱っていただけない可能性があります。また、遺言により分与する財産の範囲をきっちり決めておくことも必要です。

 遺言書の内容は、遺言者が述べた趣旨に沿うように公証人が作成してくれます。

口述のかわりに遺言内容を書いてきた下書きなどを公証人に渡して、遺言書の文章を書いてもらっても問題ありません。口がきけない遺言者の場合には、遺言の趣旨を自書するか手話通訳人に申述させる方法で、公証人への口述とすることが認められております。(司法書士のような専門家へ依頼をする場合には実務上として司法書士が下書きを提出して作成してもらいます)

 そのうえで、公証役場では、以下の手続で公正証書遺言の作成を行います。

 ①事前に公証人との打ち合わせ

 ②遺言者と証人2名が公証役場へ出向く

 ③公証人が遺言者の本人確認・口述・意思確認を行う

 ④遺言者と証人2名の署名捺印

 ⑤公証人が署名捺印(公証人が作成した証書である旨の付記)

 ⑥公正証書遺言の完成

 つまり、遺言者の方は、当日、公証役場に出向き、遺言書の内容を公証人が読み聞かせ、その内容を承認するのみとなります。ですので、しっかり意思表示できる状態でないと難しくなります。

3.公正証書遺言の公証役場への手数料

 遺言により財産の移転先の方ごとに、移転される財産の価額に応じて、公証役場の手数料が決まります。ご注意いただきたいのは、対象財産の総額に対して手数料が決まるのではないという点です。

 各移転先の方の財産の価額についての手数料は、以下の通りです。

4.まとめ

 アイリスでは、遺言サポートの取り扱いも行っております。

 報酬は、10万円(税抜)+証人1人につき1万円(税抜)となっております。

 アイリスの相続法律相談をご利用いただき、必要がある場合には、公正証書遺言作成のサポートを実施しております。ぜひ、お問い合わせください。

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