相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
司法書士を目指されている方へ(不動産登記法記述の論点3)

既に、超直前期に差し掛かり、記述対策にも力が入ってきている時期だと思います。今回も不動産登記法の記述問題についての論点について、確認していきたいと思います。今回も「(根)抵当権」関連になります。択一試験でも論点となる個所ですので、ひな形をしっかりと覚えてください。
目次
1.抵当権(連帯債務者の一人の債権譲渡)
2.抵当権(連帯債務者の一人に対する債務免除)
1.抵当権(連帯債務者の一人の債権譲渡)

連帯債務者の一人に対する債権は、それのみを独立して譲渡することができます。連帯債務者に係る債権を担保するために抵当権が設定されている場合、「年月日債権譲渡(連帯債務者Aに係る債権)」を原因として、抵当権の一部一点の登記をすることになります。
(確認事項)債権譲渡の対抗要件として、
①債務者に対する対抗要件として
債権譲渡が譲渡人と譲受人との間の意思表示によりされる場合には、その事実を知ることができない債務者が二重弁済の危険を負うことを防止するために、債務者に対抗要件として、債務者への、債務者への通知又は債務者の承諾が要求されます。(民法467条1項)
➁第三者に対する対抗要件
確定期日ある証書による債務者への通知又は債務者が確定日付ある証書による承諾をすることで、第三者に対する対抗要件も具備することになります。(民法467条2項)
※確定日付ある証書とは、実務では公証役場で認証してもらった書類になります。
※この部分については、記述ではあまり触れられることはないかもしれません。
上記基本事項を踏まえて、「連帯債務者の一人に対する債権の譲渡による抵当権の移転」についてみていきます。
連帯債務者の一人に対する債権は譲渡できることは先に述べました。そして、連帯債務者に係る債権を担保するために設定されている抵当権について、債権の一部譲渡に準じて抵当権の一部移転の登記を申請することになります。原因については先に記載した通り「年月日債権譲渡(連帯債務者Aに係る債権)」となります。しかし、連帯債務者の一人の債権額については、どうでしょうか?連帯債務者って、債権全体をここが負っている状態ですので、出てきません。だから、「譲渡額」を記載することは要しません。しかし、登録免許税は、債権額×1000分の2で計算することになります。人数で割ったりしないので、注意してください。
(ひな形)
「登記の目的 〇番抵当権一部移転
登記原因 年月日債権譲渡(連帯債務者Aに係る債権)
権利者 債権を譲り受ける側
義務者 債権を譲渡する側」
2.抵当権(連帯債務者の一人に対する債務免除)

ここは、直接記述にかかわってくる論点ではないのですが、理解を確かめるためにその内容を書かせる可能性があります。
連帯債務者の一人の債務を免除することは、「絶対効(他委の債務者にも影響を及ぼす効力)」なのか、「相対効(その者のみの効力にとどまる効力)」なのか、今一度、確認しておく必要があります。
それでは、連帯債務の絶対効、5つありますが、すべて答えられますか?
①弁済・弁済の提供・供託・受領遅滞・代物弁済
➁更改
③相殺
④混同
➄債権者及び他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示した時
以上が絶対効になります。この中に、債務免除は含まれていません。ということは、債務免除では、他の連帯債務者への効力というものは生じないということになります。
それでは、債務免除を受けた債務者以外の債務者が、債権者に弁済した場合、その債務者は、他の債務者(負担部分がある者)に対し「求償」することができます。この求償の範囲も民法442条2項で定められていますので、まとめてみました。
①主たる債務を消滅させた出捐額(しゅつえんがく)
➁免責あった日以後の法定利息
③そのほかの損害賠償
が、求償の範囲となります。
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