司法書士を目指されている方へ(令和5年12月4日法務省発表の記述配点変更)

2023年12月17日

令和5年12月4日法務省HPに発表された記述式試験の配点変更(午後の部の試験時間(3時間)には変更はありません。」とされており、択一式210点はそのままで、記述式70点満点が140点へと変更されました。)について、私なりに対処法を考えてみました。大きく学習計画を変更する必要があるのかというと、そこまでインパクトは大きいとは考えてはいませんが、「不安」に感じている受験生も多いのではないでしょうか。

目次

1.法務省HP「【重要】司法書士試験筆記試験記述式問題の配点の変更について」

2.司法書士試験の記述式問題で求められる能力

3.配点の割合の変化

4.予備校などの情報を基に考える対処法

5.今後どうやって客観的に自己分析すればいいのか

6.まとめ


1.法務省HP「【重要】司法書士試験筆記試験記述式問題の配点の変更について」

 令和5年12月4日、法務省HPにて「【重要】司法書士試験筆記試験記述式問題の配点の変更について」として、「令和6年度以降に実施する司法書士試験筆記試験午後の部の記述式問題の配点を以下のとおり変更するので、あらかじめお知らせします。なお、午後の部の試験時間(3時間)には変更はありません。」とされており、択一式210点はそのままで、記述式70点満点が140点へと変更されました。

2.司法書士試験の記述式問題で求められる能力

 司法書士試験の記述試験問題で求められる能力は、問題文と添付書類から「なすべき登記」を判断し、その内容を解答用紙に書いていき、その登記に必要な添付書類を正確に選別できる能力です。ほぼ実務と言っていい内容ですので、実務経験のない方は不利に思うかもしれませんが、今までも同様の試験が実施されており、配点が変更になる以外の部分で、今までの学習内容に変更はないと思います。

 実務をしていないとだめなんじゃないのかという話をよく聞きますが、私自身、合格後の配属研修以外に実務経験はありませんでしたが、ちゃんと得点できていました。

 過度に学習内容を変更する必要はないと思いますが、もともと記述式試験は、練度がものを言います。日々の学習に必ず入れていくようにしておき、本番で焦らないで済む訓練は必要です。詳しくは、令和5年12月3日のブログ「記述試験という魔物」を参考にしてみてください。

3.配点の割合の変化

 今までの試験の配点が、択一式210点・記述式70点。つまり、択一:記述の割合は、3:1で、記述の占める割合が25%だったところ、令和6年度からの試験は、択一式210点:記述式140点。割合は3:2で、記述式の占める割合は、40%となります。

 一般的には、択一・記述で基準点が発表され、それに大体30点ほどの上乗せ点が近年の試験で必要でした。今までの試験で記述は内容により差が出やすいので、安定して上乗せ点をとる手法として、択一の精度を上げていくのが、コスパがいいと予備校などでは言っていたと思います。令和6年度の試験結果が出ないとわかりませんが、この上乗せ点については、今のところ未知数です。記述が得意な方は、記述で上乗せ点を確保する選択肢ができますが、かといって、択一をないがしろにはできません。

4.予備校などの情報を基に考える対処法

 予備校の配信等で確認すると、やはり今後の対策としては、記述の精度を上げていく訓練が必要になってくると思います。少しブログでも触れましたが、記述の精度を上げるためには、ほぼ毎日、今までより期間を長く設けて取り組む必要があると思います。当然、費やす時間も多くなりますが、その分択一をおろそかにはできないことを前にも書きました。記述の配点が2倍になり、択一で稼げる上乗せ点のコスパは単純に考えると「半減」しています。が、択一の練度を上げて時間短縮をしなければならないと思います。そうすることで、記述に割ける時間が増加するためです。なぜ記述の得点にばらつきができるのかと言いますと、そもそも時間が足りていない状況で、多くの正確な判断を要求されるからです。私の記憶では、じっくり考えて解答した記憶は、ほぼ皆無です。今までは、記述は基準点近くをキープして、択一でガッツリ稼げば合格も夢ではなかったのですが、これからはそう簡単にはいかなくなりました。

5.今後どうやって客観的に自己分析すればいいのか

 令和6年度の本試験で、今回の変更点を試すのはリスクが高すぎます。ですので、変更後の配点に準じた予備校の模試をできるだけ多く受けてみることをお勧めします。基本的に、問題の形式の部分での変更はありませんから、現状把握のためにも、自分の得点した内容を経過的にみていき、弱点を徹底的につぶしていくしかないと思います。

 私が令和2年の試験に落ちたときは、コロナ流行初期で、怖くて会場受験をしなかったために、本番のペースがつかめずに敗退しました。ある程度、学習が進んだ状態では、このペースをつかむことが非常に重要になってきます。記述の点数にも大きく影響してくると思います。

6.まとめ

 基本的に学習計画は大きく変える必要はありませんが、記述の得点がいまいち伸び悩んでいる方は、記述の学習時間をもう少し確保したほうがいいかもしれません。

 また、択一学習は知識の習得だけでなく、午後の択一を正確に早く解くために、問題文のキーワードを正確に見つけ出せるようになるまでトレーニングが必要です。

 これらの学習を実施しても客観的な判断は、本試験前には絶対必要になりますので、予備校の模試を多く受けて、自分の立ち位置を常に見ておく必要があると思います。

 LECの令和5年12月23日・24日実施の「実力診断模試」があります。会場受験+Web解説付きで3000円とリーズナブルです。現状把握のためにも受験してみてはいかがでしょうか。

※執筆時点(令和5年12月10日)に、LEC本校に問い合わせたのですが、記述の配点を反映するかどうかについては検討中だそうです。受験される方で、気になる方は、LEC本校に問い合わせてみてください。

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