墓地の登記申請・墓地の相続登記義務化について

2022年09月28日

現在、数次で相続が発生しているとある県の山奥の土地についての相続登記の依頼を受任したのですが、その中の土地に、地目が「墓地」となっているものが3筆ありました。現在、このような個人墓地の所有は認められていないので目にすることはないのすが、このように数世代にわたり相続登記が放置されているケースでは、まれにあるそうです。それでは、今回のような個人墓地の土地について、通常の相続登記以外に、祭祀財産として申請する場合がありました。今回は相続登記で実施するものの、今後のご依頼に対応するために詳しく調べてみました。

被相続人(亡くなった方)が墓地を所有していた場合、登記名義人の変更手続きが必要となります。この場合、上記の通り2つのパターンがあります。

①祭祀財産として申請する場合

  • 日付 祭祀の承継があった日
  • 原因 民法第897条による承継(相続でも受理される)
  • 申請人 権利者 財産を引き継ぐ人

      義務者 相続人全員(または、遺言で指定している場合、遺言執行者)の共同申請となります。

 ※義務者については、実印での押印が必要

  • 添付情報 登記識別情報(亡くなった登記名義人のもの)

       住所証明情報(権利者のもの)

       印鑑証明書(義務者のもの)

 ※被相続人が指定した場合→遺言書、相続人全員が生前の指定内容を確認した書面

  慣習で決まったとき→相続人全員が祭祀主宰者を確認した書面

  家庭裁判所が指定したとき→調停調書、審判書(確定証明書付き)

  • 登録免許税→登録免許税法第5条第10項により非課税

➁相続財産として申請する場合

 墓地が祭祀財産になるとは限りません。墓地の土地上に別親族の墳墓(お墓)がある場合などがこれにあたります。つまり土地所有者にとって墓地は祭祀財産ではなく、相続財産になるという扱いになります。

  • 日付 被相続人が亡くなった日
  • 原因 相続
  • 申請人 新たに登記名義人となる相続人

  ※印鑑は認印でも可

  • 添付情報 (相続登記に必要な書類一式)
  • 登録免許税→登録免許税法第5条第10項により非課税

ここで気になるのが、2024年4月1日施行の「相続登記義務化」が適用されるかどうかだと思います。

①の「祭祀財産として申請する場合」→祭祀財産は相続という概念によって承継されるものではないため、対象ではないものと考えられます。

➁の「相続財産として申請する場合」→対象となります。2024年4月1日以前に発生した相続についても対象となりますので、長期放置されている方は、早期の相続による名義の変更をお勧めいたします。

今回、偶然にも相続登記が放置されていた墓地があり、「相続」による登記で実施いたしますが、祭祀財産として登記申請する場合には、登記原因、共同申請になる点と添付情報に注意が必要です。

※寺院墓地や霊園は、契約者が亡くなってもその使用権はなくなりません。今回の話は、地目が墓地である土地の所有者が亡くなった話になります。

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