外国人が日本国内で会社を設立する場合

2023年04月28日

外国人の方から、日本で会社を設立したいとのご相談がありました。この際に調査した内容について解説いたします。

目次

1.外国人が日本国内で会社を設立する流れ

2.提出書類等の違い

3.在留資格の問題

4.役員は日本に住所を融資していなければならないか

5.外国人役員が日本に居住していない場合の問題点

6.最後に


1.外国人が日本国内で会社を設立する流れ

 外国人が日本で会社を設立する場合と、日本人が会社設立する場合で、手続が大きく変わることはありません。

 一般的な会社の手続きの流れとしては、

 ①定款作成

 ②公証人の定款認証

 ③出資の払込み

 ④設立登記申請

となりますが、この流れについては外国人が会社を設立する際も同じです。

2.提出書類等の違い

 外国人が日本で会社を設立する際には、当然のことながら言語の違いの問題があり、外国語で書かれた書類を法務局に提出する場合は日本語訳がついていなければなりません

 また、多くの国で印鑑の制度は存在していませんが、上記手続のうち、定款認証や設立登記申請の際には発起人や代表取締役の印鑑証明書が必要になります。そこで、印鑑証明書に代わる書類として、サイン証明書や宣誓供述書が必要になり、会社設立手続きにおける必要書類の面では違いがでてきます。

3.在留資格の問題

 上記の通り、会社の設立に関しては書類さえ揃えば、外国人が会社を設立する場合と日本人が会社を設立する場合では大きな違いはありません。

 あとは、外国人が会社を設立する際の特有の問題としては、在留資格があげられるでしょう。就労制限のない在留資格を持っていない外国人が会社を設立・経営していくには「経営・管理」の在留資格が必要になります

 外国籍の方は在留許可がなければ日本に滞在し営業活動を行っていくことはできませんので、在留許可の申請については慎重に行う必要があります。

4.役員は日本に住所を有していなければならないか

 平成27年3月16日の会社法の改正により、代表者全員日本に住所を有しない株式会社の設立の登記及びその代表取締役の重任若しくは就任の登記が法務局で受理される取扱いとなっています。

5.外国人役員が日本に居住していない場合の問題点

 海外に居住していても日本で会社を設立し代表取締役に就任することは可能となったのですが、注意しなければならない点があります。

 それは、日本に代表者が居住していない会社は、銀行口座の開設が非常に難しいという点です。また、「犯罪収益移転防止法」の観点からも、調査に時間がかかる場合もありますし、そもそも、口座開設を受け付けていただけないという場合もあるかもしれません。

 会社名義の口座が開けないというのは、円滑に営業活動を進めていく上で大きな障害となりますので、その点にも注意は必要かと思われます。

6.最後に

 昨今、犯罪収益移転防止法の規制が強くなってきており、つい先日の通達で、疑わしい取引についての行政庁への報告義務が「公認会計士・税理士・行政書士」にも適用されることを知りました。弁護士・司法書士は、各会の規定により手続きを作成するそうですが、改めて「本人と意思の確認」の重要性は高まってきています。また、「先進主要七箇国が資産凍結等の措置を実施した関係者等のリスト」にも注意しなければなりません。

 必ず、本人と実態の確認をするようにしなければなりませんね。

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