孫への生前贈与のメリットと注意点

2023年04月10日

孫への生前贈与について、いくつか注意しなければならないポイントがあります。相続税の生前贈与加算・贈与税について解説していきます。

目次

1.孫への生前贈与するメリット

2.相続税・贈与税の課税回数を1回減らせる

3.相続発生時の3年以内の生前贈与加算は対象外となる

4.贈与者が高齢でも贈与が間に合うことがある

5.孫への生前贈与で、3年以内贈与財産の加算対象となる場合(重要)

6.未成年者への贈与は親権者との契約が必要

7.定期贈与は課税対象となる場合がある

8.扶養義務者からの贈与は贈与税の対象とはならない

9.まとめ


1.孫への生前贈与するメリット

 ①相続税・贈与税の課税回数を1回減らせる。

 ➁相続発生時の3年以内の生前贈与加算は対象外となる。

 ③贈与者が高齢でも贈与が間に合うことがある。

が、挙げられます。

2.相続税・贈与税の課税回数を1回減らせる

 財産を相続発生ごとに子そして孫へ承継した場合には、子、孫のそれぞれに2回相続税が加算されることになります。相続税の税率は最大55%であるため、孫への相続の時点で財産が大きく目減りしてしまう可能性があります。

 一方、直接孫へ相続、生前贈与する場合、課税回数は孫への1回のみとなります。

3.相続発生時の3年以内の生前贈与加算は対象外となる

 基本的には、孫は直接の相続人ではないので、相続人に対する3年以内の生前贈与加算(2024年以降の生前贈与に関しては、亡くなる前の7年間)の贈与財産に関しては相続税の課税対象とはなりません。(例外がありますので、後に記載いたします)

4.贈与者が高齢でも贈与が間に合うことがある

 相続人に生前贈与をしても、3年以内(2024年以降は7年以内)になされた財産は相続税の課税対象となる場合があり、事前に計画を立てて行う必要性がありますが、孫は法定相続人ではありませんので、対象外となります。

 孫への生前贈与は基本的に生前贈与加算の対象外のため、高齢の方が亡くなる直前に生前贈与をしても相続税の対象とはならないというメリットがあります。

5.孫への生前贈与で、3年以内贈与財産の加算対象となる場合(重要)

 本来であれば孫への生前贈与は生前贈与加算の対象とはなりませんが、次のいずれかに該当するときは対象となりますので注意が必要です。

 ①孫と養子縁組をしている場合

  養子は、相続人となりますので、生前贈与加算対象になってしまいます。

 ➁遺言書に孫が財産を受け取ると明記している場合

  遺言を介して財産を譲り受けることになるので、生前贈与加算の対象者となってしまいます。

 ③孫を生命保険の受取人に指定している場合

  被相続人の死亡を介して生命保険を受け取ることとなりますので、生前贈与加算の対象者となってしまいます。

6.未成年者への贈与は親権者との契約が必要

 孫が18歳未満の時は、孫の親権者(法定代理人)である親(子又はこの配偶者)との贈与契約を結ぶことが必要となってきます。

 なぜこのような贈与契約が必要なのかと言いますと、孫への生前贈与はしばしば名義預金が疑われるため、贈与であることを明確にするためにも贈与契約書を作成しておくべきでしょう。

7.定期贈与は課税対象となる場合がある

 毎年の贈与が「定期贈与」と判断されるときは、たとえ年110万円以下(贈与の基礎控除額以内)であっても、贈与税の課税対象となることがあります。

 毎年100万円を贈与して10年間で1000万円を渡す場合、最初から1000万円を贈与する意思があったとみなされ、定期金に関する権利として1000万円が課税対象になり贈与税がかかります。

 ポイントは、各年の贈与が独立していて、定期贈与ではないことがわかるように、暦年贈与では年ごとに贈与日や金額を変えるようにしておくべきです。

8.扶養義務者からの贈与は贈与税の対象とはならない

 扶養義務者(父母や祖父母)から孫に学費や生活費を渡すときなどは、親族による扶養義務としての贈与は、贈与税の課税対象とはなりません。

 社会通念上妥当な金額であることが条件となりますので、妥当かどうかの判断に迷われる場合には、贈与税に詳しい税理士等の専門家に相談してください。

9.まとめ

 孫への生前贈与を考える場合には、相続税の生前贈与加算と贈与税には、注意が必要となります。

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