ここでは、定款に取締役の互選による代表取締役の選任についての記載があるものとして、考えていきます。
2-1.定款の取締役員数確認
定款に、取締役の員数の記載があります。そこに2人以上と記載されている場合、2人の取締役(A・B)でそのうちの1人が代表取締役(B)だったとすると、Bが死亡または取締役を辞任した場合、この株式会社には取締役はAのみとなってしまいます。ですので、まずは、取締役の員数を整合させるために、他に1名取締役に選任するか、定款の取締役員数の変更(「取締役の員数は、1名以上とする。」)と変更しなければなりません。どちらがコストや時間がかからないかと言いますと、定款の変更です。
2-2.代表取締役選任を互選でする場合の注意点
定款の互選の規定について、その表現の仕方により、手続きが変わってきますので、注意が必要です。
(事例1)取締役A・B、代表取締役B B死亡
定款記載「取締役を2名以上置とする。
取締役の互選により代表取締役を1名置く。」
この場合には、取締役Aの代表権は当然には発生しません。この場合には、株主総会にて、取締役を選任後互選をするか、定款を変更して互選の定めを廃止する等の対応が必要です。
(事例2)取締役A・B、代表取締役B B死亡
定款記載「取締役を1名以上置とする。
取締役が2名以上いるときは、取締役の互選により代表取締役を1名置く。」
事例1との違いは、「取締役が2名以上いるとき」に互選をするという表現になります。先例により読み替えが起こるみたいで、「取締役が2名の場合には代表取締役を互選により定めるが、取締役が1名の場合にはその者が当然に代表取締役になる」趣旨と解されています。そのため、申請では代表取締役を選任するのではなく、「代表権付与」という形になります。
2-3.上記の場合の添付書類
事例1の添付書類は
①役員変更(取締役の死亡退任と選任)の株主総会議事録
➁株主リスト
③互選書
④就任承諾書
➄印鑑証明書
⑥定款
事例2の添付書類
①役員変更(取締役の死亡退任)の株主総会議事録
➁株主リスト
③定款
事例2の方が、添付書類がシンプルになります。
3.まとめ