特定非営利活動法人(NPO法人)設立のメリット・デメリット

2023年03月19日

先日、ご相談のありましたNPO法人設立について、行政の見解が出てきました。結果、法人設立は見送ることにいたしました。なぜそのような判断をしたのかを解説いたします。

目次

1.特定非営利活動法人(NPO法人)設立のメリットとデメリット

2.特定非営利活動法人の営利事業の税制

3.まとめ


1.特定非営利活動法人(NPO法人)設立のメリットとデメリット

 【メリット】

 ①税制上の優遇措置がある:NPO法人には、法人税や所得税、消費税などの税制上の優遇措置があります。具体的には、一定の条件を満たす場合には、法人税や所得税の減免、または非課税となる場合があります。

 ➁寄付金の受け取りが容易:NPO法人には、一定の条件を満たす場合には寄付金の受け取りが容易です。また、NPO法人は公益的な活動を行う組織であるため、寄付金が寄せられやすい傾向があります。

 ③安心して活動ができる:NPO法人は法的に認められた組織であり、活動が認められた公益的な活動を行っているため、安心して活動ができます。また、NPO法人は会計報告書の作成や公表が必要であり、適切な会計処理を行うことが求められるため、活動に対する信頼性が高まります。

【デメリット】

 ①組織の運営が厳しい:NPO法人は法的な手続きや書類作成が必要であり、運営が厳しくなることがあります。特に、定款の作成や改正、役員の選任などの手続きは、時間と手間がかかります。

 ➁資金調達が困難:NPO法人は、収益を目的としていないため、資金調達が困難になる場合があります。また、NPO法人は、公益的な活動に対して寄付金や助成金を受け取ることが多いですが、これらの金額は不安定であり、予算の確保が難しいことがあります。

 ③組織の運営に専門知識が必要:NPO法人の運営には、法律や会計、助成金の取り扱いなど、専門的な知識が必要です。そのため、専門家のアドバイスや支援を受けることが必要になる場合があります。

2.特定非営利活動法人の営利事業の税制

 特定非営利活動法人(NPO法人)が営利事業を行う場合、税制上の扱いは以下のようになります。

 ①法人税:営利事業によって生じた利益に対しては、法人税が課されます。ただし、NPO法人が実施する公益的な事業については、一定の要件を満たせば減税や非課税の特例が適用される場合があります。

 ➁消費税:営利事業において、課税対象となる商品やサービスを提供する場合は、消費税が課されます。ただし、NPO法人が実施する一部の公益的な事業については、消費税の非課税の特例が適用される場合があります。

 ③所得税:NPO法人が営利事業から得た利益は、法人税とは別に所得税の対象となります。また、NPO法人の役員や従業員などが営利事業から得た報酬についても、所得税が課されます。

 なお、NPO法人が実施する公益的な事業については、法人税や消費税、所得税の特例が適用される場合があるため、具体的な取り扱いについては、税務署などの担当機関に相談することが重要です。

 行政側からいただいた税制の資料を確認しましたが、寄付等から活動費を捻出するのではなく営利事業からねん出する場合、結局、通常の株式会社とほとんど変わりません。

 この点にお客様に話をすると「知らなかった」とおっしゃられていました。

3.まとめ

 同種の事業を一部NPO法人化し、残りを個人事業で続けた場合、県及び市の見解として「利益相反の問題」が出てくるとのことでした。また、営利事業からの収益での運用は、結果として税制優遇があまり受けることができないこと、そして、NPO法人に資産として計上した機器類は、廃業する際に行政に寄付しなければならない点も、今回のNPO法人設立の足かせになったものと考えています。

 まとめると

 ①利益相反の問題

 ➁税制優遇適用範囲の問題

 ③廃業・解散をした場合の資産の行政への寄付

これらの点もしっかり踏まえたうえで、設立の検討をしていただければと思います。

アイリスでは、お客様のご要望につき、メリット・デメリットを提示して、ご判断をいただくようにしております。ヒアリングの際のご希望から、見落としている部分をご提示して、最終判断をしていただくようにしております。

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