相続土地国庫帰属制度について
2023年4月27日から実施される「相続土地国庫帰属制度」について、解説いたします。この制度は、管理費用を負担することで、相続した土地を国庫に帰属させるものです。現状は、相続した土地を相続したくない場合、相続を知った時から3か月以内に「相続放棄」の手続きをすることができます。(民法第915条)相続放棄をすることで、土地の管理義務を免れるかというとそうではありません。民法第940条には、「自己の財産におけるのと同一の注意をもって」管理する義務は残ります。その後「相続財産管理人」を選任し、債権者・相続人の調査のため公告等を行い、その後に晴れて国庫に帰属することで、この管理義務を免れることになります。当然、費用もかかります。それでは、今回のこの制度は、どのようになっているのでしょうか。
受任した相続案件で、以下のようなものがありました。
県外にある祖父が当時所有していた土地(宅地・畑・山林・公衆用道路・墓地)と家屋があり、現状固定資産税は依頼者様が支払われています。Googleマップやストリートビューで確認すると、畑は荒廃しており家屋の屋根は見えるもののその敷地には、びっしり雑草が生い茂っているのが衛星写真からわかりました。祖父の方は、ずいぶん前に亡くなられており、「相続放棄」もできない状態。
そんな中、パブリックコメントの依頼で当該制度の内容を確認したところ、帰属承認ができないケースが存在することが確認できました。(リンク:法務省ホームページ)
(1) 申請をすることができないケース(却下事由)(法第2条第3項)
A 建物がある土地(本件の場合には、建物の撤去が必要になります)
B 担保権や使用収益権が設定されている土地
C 他人の利用が予定されている土地(公衆用道路・墓地が該当します)
D 土壌汚染されている土地
E 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
(2) 承認を受けることができないケース(不承認事由)(法第5条第1項)
A 一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
B 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
C 土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
D 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
E その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地
かなり限定的な内容でした。また、管理費用については、50㎡で40万円超(案)となっています。今回の案件については、かなり無理がありますね。でも、過去の原野商法のような詐欺被害にあわれた方の中には、救われる方もいると思うので、該当ケースには、積極的に提案していきたいと思っています。
詳しくは、司法書士まで