相続登記をしたいのに被相続人の住所がつながらない!

2022年12月16日

亡くなられた被相続人の「住所を証する書面」から、どうしても登記簿上の住所に繋がらないケースがまれにあります。このような場合、役場で取得できる「住民票の除票の写し」「戸籍の附票の写し」等により承継することはできません。では、登記簿上の住所と役場の書類から証明できる住所が、異なると何が問題になるのでしょうか?

まず、相続登記をする場合、被相続人(亡くなられた方)が所有する不動産の登記簿上の住所と氏名をもって「同一人物」の判断をすることになります。つまり、上記のように「住所がつながらない」状態では、今回相続登記をする被相続人と登記簿上の名義人とが同一人であるとの判断ができなくなるわけです。

今回のケースは、実家からあらたに土地建物を贈与により取得し、結婚を機に新しい住所に引っ越しをして登記をしているのですが、その住所がご実家の住所となっていました。しかし、住民票の除票の写しを見ると、引っ越し先の不動産の住所が記載され「前住所」欄に記載が何もありませんでした。これが意味することは、「生まれたときからその住所にいた」ということになります。戸籍の附票の写しからもたどることができませんでした。しかし現実は、ご実家から引っ越されているわけです。

困りました。このままでは、相続登記ができません。このような場合に、対処方法がありますので解説していきます。

① 登記済証による証明

登記済証を持っているということは、登記簿上のご本人だねということです。今回はこちらで可能でした。しかし、かなり古いもので、コピーをとる際も気を付けないと、破れてしまいそうな状態の紙でした。

それでは、登記済証もなかった場合にはどうなるのでしょうか?

➁相続人全員からの上申書

この場合の最終手段が相続人全員からの上申書です。上申書の内容は下記の記載例のとおりですが、「登記簿上の所有者が間違いなく自分の被相続人である」ことを相続人全員が法務局に対して申告します。この上申書には相続人全員が実印を押印し、印鑑証明書もあわせて添付します。

遺産分割協議により、複数の相続人のお一人が、当該不動産を取得することとなった場合でも、「相続人全員の署名、実印による捺印」が必要です。また、この上申書だけでは足りず、あわせて戸籍の附票等の廃棄証明書や不在籍証明書、不在住証明書、固定資産税の課税明細書などの提出を求められる場合もあります。

ご依頼者から、戸籍の本籍で生まれているから、それが証明になるんじゃないのか、とおっしゃられていましたが、親族関係を表すのが戸籍で、住所を証明するのが住民票の写しや戸籍の附票の写しですので、できない旨をお話いたしました。

司法書士にご依頼いただければ、まずは間違いないと思われますが、ご自身で登記をする場合、「住所がつながらない」場合には、管轄法務局に問い合わせることをお勧めいたします。

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