相続登記後の問題点(空き家問題の取り組み)

2023年10月25日

今まで相続登記をした後、相続登記義務化対策として名義は相続人に移転したものの、実際相続人には自身の家があり、実家には住む必要がない場合その物件をどのようにするのかということがよくありました。「空き家問題」は、高松市でも大きな問題の一つです。行政の対策だけでは、追いついていないのか、約3万8千件に上ります。そんな中、仕事関係で空き家問題に取り組まれている方と出会いました。

目次

1.高松市の空き家件数について

2.行政の取り組み

3.とある業者の取り組み

4.まとめ


1.高松市の空き家件数について

今まで相続登記をした後、相続登記義務化対策として名義は相続人に移転したものの、実際相続人には自身の家があり、実家には住む必要がない場合その物件をどのようにするのかということがよくありました。「空き家問題」は、高松市でも大きな問題の一つです。行政の対策だけでは、追いついていないのか、約3万8千件に上ります

 空き家の増加は、人口減少や核家族化などの社会的要因や、住宅の老朽化や相続問題などの個別的要因によるものです。空き家は防災・防犯・景観などの面で地域社会に悪影響を及ぼす可能性があります。

 私が、司法書士試験合格後の配属研修で訪れた司法書士事務所の近隣で、2日連続で放火事件がありました。放火事件というと、夜間早朝というイメージはありますが、日の出からお昼の午前中に発生していました。結局、犯人は特定されつかまりましたが、いずれも空き家への放火でした。

 このようなリスクを回避するために、高松市では、空き家対策として、住宅ストックの有効活用や住宅の適正管理に対する支援を行っています。

2.行政の取り組み

 高松市では、空き家等の適切な管理や活用を促進するために、以下のような事業を行っています。

 ①空き家等マッチング事業:空き家等の所有者と利用者を宅地建物取引業者を通じて結びつける事業

 ➁老朽危険空き家除却支援補助制度:周辺環境に悪影響を及ぼす老朽危険空き家の除却費用の一部を補助する制度

 ③空き家バンク:空き家等の情報を提供するウェブサイトで、空き家改修補助制度も利用できる

また、高松市では「適正管理に関する対策」を実施しております。以下、高松市HP引用。

「危険と思われる空き家について、窓口で御相談いただいた情報を元に担当者が現地を確認し、所有者等へ維持管理についての依頼を行っています。また、空き家の適切な管理が行われておらず、危険な状態なまま放置されてしまうと市が「特定空家等」として認定する場合があります。

※「特定空家等」とは、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしている次の状態である空き家等をいいます。

①倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

➁著しく衛生上有害となるおそれのある状態

③適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態

④その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

「特定空家等」となると、市はその所有者や管理者に対して、空き家の状態に応じ、「助言・指導」、「勧告」、「命令」、「代執行」などの行政措置を行うことができます。

「勧告」が出された場合、空き家が建っている土地に関する固定資産税の特例措置が受けられなくなる場合があります。

周辺の生活環境に悪影響を及ぼすおそれのある老朽化し危険な空き家を取り壊す際に、補助制度を利用できる場合があります。

特定空家等措置の実施状況(令和5年9月15日現在)

助言・指導 2件

勧告     0件

命令     0件

代執行     0件

解決済み 15件 」引用終わり

3.とある業者の取り組み

 まだ、先方に許可を取っていないので、具体的な業者の名前などは明らかにすることはできませんが、取り組みについてお話をしたいと思います。

 香川県内で、空き家となってしまった不動産を買い取り又は活用を行っている業者で、人がある程度済める状態にしたのちに賃貸をするというのです。大手不動産屋とは異なり、人づての情報から実施しているとのことです。

 そんな古い不動産を活用して賃貸すると言っても、入居者は見つかるの?という疑問がわいてきましたので、話を聞いてみると、ターゲットにしている客層を絞って募集しているみたいです。そんなにターゲット層がいるのかと聞いてみると、コロナ前から増加傾向にあるとのことでした。

 もちろんボランティアでそのようなことはできませんので、利回りを聞いてみるとかなり低かったです。しかし、長く住んでいただくことにより時間をかけて、その分の回収後の収益が見込めますので、このような手法を展開しているとのこと。ただし、どのような不動産でも引き取ってくれるわけではなく、ある程度、人の生活圏が存在していることが条件となります。当然、買い取っても実際使えない場合には、取り壊しのリスクはあるものの、現状は何とか出来ているとのこと。

 アイリスで取り扱った相続案件で、空き家になりそうな物件について、検討していただけるかをお話したところ、快諾していただけました。

4.まとめ

 司法書士の仕事は、法律面と登記だろとおっしゃられる方もいますが、地域の問題に無視することはできません。現に、ご依頼いただいた方から、「この家もう住まないけど、どうしたらいい?」と言われたときに、はたして断ることはできるでしょうか?

 私は今まで、行政が推進している「空き家バンク」に登録することだけしか紹介することはできていませんでした。特に、接道義務の問題から建て替え不可となると、道路に面した隣接する土地の所有者に買い取ってもらうしか、現実的な解決策はありません。

 これで、一つこのような問題で困っている依頼者の方への選択肢の提示ができるようになりました。選択の幅が広がれば、様々な問題点に対応できるようになってきますので、非常に有効な解決策だと考えます。

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