【第3回】“養子縁組”で相続税の基礎控除を拡大する~法的に正しい活用法とは?~
「相続税が高くて困る…」「できるだけ税負担を軽くして財産を次世代に引き継ぎたい」――
こうした声に対し、"養子縁組"という法的手段を活用する方法があります。
自筆証書遺言保管制度で、指定者通知の範囲が、1名、相続人・受遺者・遺言執行者とされていたところ、令和5年10月2日より、3名、対象者に制限なしと改正されます。すでに登録されている方も届けることにより、指定者通知先を増やすことができます。
目次
1.自筆証書遺言保管制度とは
2.自筆証書遺言保管制度の指定者通知の改正
3.まとめ
1.自筆証書遺言保管制度とは
自筆証書遺言を法務局で保管する制度が存在します。これは、法務局が遺言書を受け付け、遺言者の死後に遺言書の内容を確認し、実行手続きを進めるサービスです。以下は、日本の法務局での自筆証書遺言保管制度に関する基本情報です:
①遺言書の作成:
遺言者は自分で手書きで遺言書を作成します。この遺言書には、遺産の分配に関する指示や遺志、相続人の指定などが記載されます。
➁法務局への提出:
遺言者は作成した遺言書を所属地の法務局に提出します。事前に予約が必要です。予約日当日に遺言書と申請書をもって法務局窓口で受け付けをしていただきます。提出時には遺言書を受け付けてもらい、保管を依頼します。提出時に法務局に手数料がかかります。
③保管と確認:
法務局は遺言書を受け取り、厳重に保管します。遺言者の死後、指定者通知に指定されている者に遺言書が保管されていることが通知されます。その後、遺族や関係者は法務局に連絡し、遺言書が保管されていることを確認します。法務局は遺言書の内容を確認し、遺言者の指示に従って相続手続きを進めます。
この制度は、遺言書の安全な保管と遺言者の遺志の尊重を確保するために役立ちます。また、法務局での保管は一般に信頼性が高く、遺言書が紛失したり改竄される心配が少ないため、多くの人々に利用されています。
ただし、自筆であることには変わりがありませんので、遺言書の効力が出るように書かなければなりませんので、専門家のサポートを受けることをお勧めいたします。
2.自筆証書遺言保管制度の指定者通知の改正
令和5年10月2日に施行される改正部分は、指定者通知の対象範囲となります。自筆証書遺言保管制度上で、指定者通知の対象者として指定できるのは、これまで「受遺者等、遺言執行者又は推定相続人のうち1名に限定」されていました。
この対象範囲を拡大し、「これらの者に限定されず、また、人数も3名まで」指定が可能になります。ポイントは相続人・受遺者・遺言執行者に限定されない点と、人数が1名から3名に増えた点です。
私が、自筆証書遺言保管制度を利用した際には、遺言執行者を親しくしていただいている司法書士事務所を指定し、遺言執行者の立場で通知者に指定していました。
しかし、私が別の方を指定したかったり、あと2名に通知をしたいと思った場合、変更できないのでしょうか?
この答えとして法務省HPでは、「指定者通知の対象者をすでに1名指定している場合においても、変更の届出により対象者を追加することもできます。」とされていますので、届け出ることで、変更することは可能です。
3.まとめ
公正証書遺言と比較すると、自筆証書遺言は、様々な点で異なります。特に、相続開始時に、遺言者の遺言時点での意思能力が争点となるケースがあり、その場合、公正証書遺言の方が安心です。
しかし、一般的に遺言書を作成している方は、どのくらいいるのでしょうか。
日本公証人連合会が公表している統計資料によれば、令和元年度に全国で作成された遺言公正証書は、11万3,137件です。 同じく令和元年度に亡くなった方の数は約138万人ですので、公正証書遺言を書いた人の割合は、8%程度といえます。また、公益社団法人生命保険文化センターHP、「法務省の調査によると、55歳以上で自筆証書遺言を作成したことのある人は3.7%、公正証書遺言を作成したことのある人は3.1%となっています。」とありました。
遺言書を作成したことがある方は、10%に満たない状況で、遺言書の作成をするには、敷居の高い公正証書遺言より自筆証書遺言が手軽に作成できます。勿論、専門家のサポートを利用することが必要だと考えます。
「遺言書があったらもめるんじゃないの?」とおっしゃられる方もいましたが、遺言書がないせいで、相続手続きそのものができない状態になっているケースをよく見かけます。また、今良好な家族関係も、遺言者の方が亡くなった後も問題なければいいのですが、誰にもそんなことはわかりません。
アイリスでは、健康寿命75歳として、70歳を超えた場合、遺言書の作成をお勧めいたします。
アイリスでは、自筆証書遺言のサポートを実施しております。
報酬 44,000円~
※ご依頼いただいた方には、「自筆証書遺言セット」をお渡ししております。
「相続税が高くて困る…」「できるだけ税負担を軽くして財産を次世代に引き継ぎたい」――
こうした声に対し、"養子縁組"という法的手段を活用する方法があります。
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