行政書士業務(建設業許可):経営業務の管理者の証明

2023年06月03日

今回の建設業許可申請の業務において、一番大変だったのが「経営業務の管理責任者の証明です。いろいろとケースがあるのですが、建設業の経験ある方を役員に迎え入れる際に、本当にその方が、建設業許可を受けた会社で5年以上、経営者として従事していたかの証明及び、社会保険関連でかなり苦戦しました。情報共有として解説いたしますが、あくまで香川県の一般許可の申請である点のみの解説となりますので、大臣許可や特殊許可については、適応にはならないかもしれませんので、注意してください。

目次

1.経営業務の管理責任者とは

2.経営業務の管理責任者の実績の証明(今回は法人役員だった方)

3.経営業務の管理責任者の現会社への従事の確認(今回は法人)


1.経営業務の管理責任者とは

 経営業務の管理責任者とは、その営業所において、営業取引上対外的に責任を有する地位にあって、建設業の経営業務について総合的に管理し、執行した経験を有した者を言います。

 経営業務の管理責任者は常勤で、法人では役員でなければなりません。

 過去に5年以上、この経営業務の管理責任者として5年以上のキャリアがあったことの証明が必要となります。①

※「役員」には、執行役員、監査役、会計参与等は含まれません。例えば、監査役として過去5年以上建設業に従事していたとしても、それは経営業務の管理責任者としての実務経験にはカウントされません。

 そして、新規に建設業許可を申請するにあたり、「経営業務の管理責任者」が、申請法人に従事していることの証明が必要になります。➁

2.経営業務の管理責任者の実績の証明(今回は法人役員だった方)

 例えば、前の会社から退職し新たに法人を立ち上げ建設業を営もうとした場合、建設業許可がなければ、5年間の実績が必要となります。この場合の証明には、新たに作った会社の5年間の請負工事契約書類などで証明することとなります。

 しかし、5年という期間はあまりに長いです。建設業の許可がない場合、消費税込みで500万円以下の請負工事契約しか受注することができません。かなり厳しいと思います。

 そこで、外部から建設業許可を受けた会社の取締役等で5年以上勤められた方を外部から役員として迎え入れる場合があります。この場合、当該取締役等について、建設業許可を受けた会社で5年以上取締役としての実績を証明しなければなりません。

 在籍と期間の証明は、「商業登記簿謄本」から確認することができます。

 が、「建設業許可を受けていた会社」の証明は、どのようにすればよいのでしょうか?

 先輩行政書士の方に聞いたところ、原則、前の会社に協力していただいて「許可証の写し」をいただいているのが通常と言っていました。

 しかし、けんか別れで退社した役員もいるわけで、この辺は難しいですが、行政機関に許可申請の書類が残っていればいいのですが、「あること」を前提として動かない方がいいです。ネットで調べると大阪、京都は過去の書類を残しているケースもあるようですが、基本は前の会社の協力を打診していただくようにお願いしたほうがいいです。

 仮に、行政機関に過去の書類が残っており「情報開示請求」で取得しようとする場合も、必ず事前に行政庁又は大臣許可の窓口の担当者に確認し、出せるかどうかの確認はしてください。相談なくやってしまいますと、ダメだしされる恐れがありますし、行政機関にとっては不意打ちになってしまいます。もめる原因になりますので、必ず相談後、できるできないの明確な回答を受けた後に実施してください。

 前回者の協力も仰げない、行政にも許可書の控えなどは残っていないとしたらどうすればいいのでしょうか。

 「前会社が保管している5年間の請負契約書類の写し」が必要となります。つまり、もっとハードルが上がるということです。

3.経営業務の管理責任者の現会社への従事の確認(今回は法人)

 外部から経営業務の管理責任者の経験者を迎え入れる場合、実際に会社に就業してもらう証明として、役員報酬がある場合とない場合が想定されます。

 ①役員報酬がある場合

  社会保険への加入が義務付けられますので、発行される社会保険証の写しをもって、証明することになります。

 ➁役員報酬が無報酬の場合

  社会保険への加入は不要ですが、国民健康保険への加入が必要です。当然、すでに加入していれば再度加入する必要はありません。しかし、これでは社会保険証がないので、役員に就任した証明として社会保険証が使えません。この場合、市民税の普通納付から特別納付への変更手続きの書類をもって、社会保険証の代わりとすることができます。(香川県での場合)

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