公正証書遺言謄本の郵送による請求方法

2022年10月03日

公正証書遺言書による不動産の名義変更手続きには、公証役場に保管されています「遺言公正証書」の謄本の原本が必要になってきます。この原本につきましては、コピーの添付と原本に相違ない旨の記載をコピーにすれば「原本還付」されます。しかし、この謄本が手元にない場合、保管されている公証役場で、公正証書遺言書の謄本の交付請求が必要になってきます。しかし、その公証役場が遠方だったらどうなるのでしょうか?それでは、解説していきましょう。

郵送請求する場合でも、窓口交付請求する場合でも、公証役場の「遺言検索システム」で検索することが必要になります。そして、原則は、作成した公証役場に直接出向いて、直接請求することです。

(直接請求(窓口請求)に必要な書類)

1.遺言者の死亡の事実を証する書類(遺言者の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本または、死亡診断書のコピーなど)

2.請求者が利害関係人であることを証する書類(亡くなった方の相続人であることが確認できる戸籍謄本等)

3.請求者の身分を証する書類等(免許証など顔写真付きの本人確認書類及び認印、発行から3か月以内の印鑑証明書及び実印など)

※こちらを代理人を使って行う場合、上記の書類に加え

4.代理人の身分証明書

5.代理人の権限を証する委任状(請求者の「実印」が押印されているもの)

6.請求者の印鑑証明書(発行から3か月以内)

※委任状には認印ではなく「実印」の押印が必要ですので、注意が必要です。

※戸籍謄本等につきましては、提出時に原本と一緒にコピーを提出して、原本は返却してほしい旨を伝えれば返却してもらえます。

※委任状は、ダウンロードして使えるものもあるのですが、公証役場に確認したほうがいいです。

従前の手続きは、上記の窓口請求のみでしたが、2019年4月1日から、郵送での謄本を取り寄せることができるようになっています。詳しい内容を私も調べましたが、あまり情報がないので、調べた内容を以下に記載いたします。

(郵送請求に必要な手続き)

①最寄りの公証役場で「公正証書謄本交付申請書」の署名認証を受ける。

 ※認証に必要な書類は、上記書類と同じです。

 ※手数料 2,500円(認証1件につき)

 必要書類、手数料を持参して、最寄りの公証役場に出向き、公正証書謄本交付申請書に必要事項を記入します。

 ※認証手続きは代理人によることも可能ですが、交付請求書に請求対象の公正証書遺言の「作成年月日」「証書番号」等を記載する必要がありますので、不明である場合は、代理人による認証手続きはできません。認証の前に「遺言の検索」をしておきましょう。

 ※公証役場に出向く際、特に事前予約はいらないとのことですが、昼休みや業務終了時間間際に行くと受付終了となる場合がありますので、余裕を持っていきましょう。

➁証明認証後、遺言書保管公証役場への謄本交付請求

 請求先は、遺言書原本が保管されている公証役場になります。

 郵送方法は、戸籍等の重要書類もありますのでレターパックプラス(赤)がいいと思います。

 必要書類は、

 1.署名認証を受けた「公正証書謄本交付申請書」

 2.認証を受けた際の必要書類のすべて(戸籍謄本等)

   ※免許証のコピー以外は、全て原本を送付することが必要です。

 3.戸籍等の原本を還付を希望する場合には、その旨を記載したメモ

 4.返信用レターパック(返送先の住所・氏名及び電話番号を記入しておく)

③その後、請求先の公証役場から電話連絡に従い、謄本交付手数料を支払います。

 手数料は、遺言書のページ数×250円×通数です。

 支払いは、指定の金融機関口座への払い込みによって行います。(振込手数料は請求者負担)

(注意点)

請求者に謄本請求の権限があるか否かの最終判断は、署名認証を行う「最寄りの公証役場の公証人」ではなく、遺言書の原本を保管している「請求先の公証役場の公証人」が行いますので、請求先の公証役場から請求内容等についての問い合わせが入ることがあります。また、場合によっては、謄本請求が認められない可能性があることも留意しておく必要があります。日本公証人連合会のHPにも、「詳しい手続きは、最寄りの公証役場にご相談してください。 」とありますので、該当する公証役場に事前に確認をしてください。

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