相続法律・税務無料相談会のご案内
令和5年12月20日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。
遺産分割前に共同相続人の一人が、遺産の一部を使ってし待った場合の取り扱いはどのようになるのでしょうか。長男が両親と同居しており、次男が帰省の際に目にしていた財産が、遺産分割の時に亡くなっていた、なんて場合がこれにあたると思います。遺産分割協議の時にもめる原因ともなりますので、その取扱いについて解説したいと思います。
目次
1.遺産分割前に遺産に属する財産を処分された場合の遺産の範囲
2.事例から考える
3.まとめ
1.遺産分割前に遺産に属する財産を処分された場合の遺産の範囲
「民法906条の2
1.遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その全員の同意により、当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができる。
2.前項の規定にかかわらず、共同相続人の一人又は数人により同項の財産が処分されたときは、当該共同相続人については、同項の同意を得ることを要しない。」
とあります。
つまり、すでに見当たらない財産について、遺産分割の対象に含めるか含めないかは、共同相続人全員の合意でできるということです。もちろん、所在不明の財産についても全員の同意があれば含めることができます。
一方、共同相続人のうちの一部の者が処分した場合には、その者の同意は不要になるということです。
2.事例から考える
両親と長男の家族があったとします。父親が亡くなったときの財産は
①土地家屋 500万円
➁現金 200万円
だったとします。
しかし、父親が亡くなった後に調べてみると、仏壇の中にしまってあった現金200万円がないことに母親が気付きました。母親は長男が使ったと疑っていますが、確たる証拠はありません。もちろん、母親が長男に尋ねましたが、長男は200万円の現金の持ち出しには、否定しています。民法906条の2の第2項では、共同相続人の一部がその財産を処分した場合について規定しています。このような場合にはどのようにすればいいのでしょうか?
もし、母親、長男共に現金200万円を遺産に含まれることに争いがなければ、現金200万円は遺産分割の対象とすることができます。長男が200万円の盗難を否定していても、遺産分割に含めることについて同意すれば問題ないということです。
もちろん、長男が持ち出したことを認めている場合には、長男の同意がなくても、遺産分割の対象とすることができます。
この規定の制度趣旨は、遺産を持っているものが遺産分割前に処分して自分の利益としても、それがまかり通らないようにすることです。公平な遺産分割をするための規定と言えます。
3.まとめ
なぜ、このような論点が重要になってくるのかと言いますと、遺産分割で法定相続分での分割をした場合、2の事例では、母親2分の1、長男2分の1となります。
不動産は物理的に分けることはできないので、代償分割(長男が取得する持ち分を現金で埋め合わせる分割方法)でした場合、長男に渡す現金は、
①現金200万円を含めた場合:代償金額は、150万円
➁現金200万円を含めなかった場合:代償金額は、250万円
となり、含めた場合と比較すると100万円多く、母親が長男に渡すことになります。現金が少ない場合には、もめる原因となります。
しかし、現状では「配偶者居住権」や「相続分の修正にかかる夫婦間における持ち戻しの意思表示推定」などが規定されており、より配偶者が被相続人と暮らした不動産を取得しやすいように改正がなされました。
次回は、「相続分の修正にかかる夫婦間における持ち戻しの意思表示推定」について、解説したいと思います。
※特別受益:相続人の中に、被相続人から遺贈や生前贈与によって特別の利益を受けた者がいる場合に、その相続人の受けた贈与等の利益のこと。
※特別受益の持ち戻し:被相続人から特定の相続人に対し生前贈与等が行われた場合には、特別受益があるわけですが、特別受益分を遺産の中に入れて具体的相続分を計算すること。
令和5年12月20日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。
令和6年4月1日より、相続登記が義務化されますが、相続税対策として一般的だった「暦年贈与」と「相続時精算課税」について、令和6年1月1日より、大きく変わるそうです。同じ「110万円」というキーワードでも、制度が全く異なってきます。令和6年1月1日より先日、セミナーで伺った内容についてまとめてみました。詳しい内容につきましては、税理士にご確認ください。いよいよ、雑誌の記事でも取り上げられ始めました。アイリスでは、香川県内の方を対象に、相続税無料相談会へのご案内をしております。ぜひご利用ください。
令和6年4月1日に始まる相続登記義務化ですが、「義務化」というくらいですので、罰則が用意されています。罰則は「最大10万円以下の過料」となりますが、相続登記が発生してから、いつまでにすれば過料は免れるのか、また、法務局が示した過料を免れる基準などをお話ししたいと思います。
法務省HPより、「令和5年10月12日(木)、12年以上登記がされていない株式会社及び5年以上登記がされていない一般社団法人又は一般財団法人に対して、法務大臣による官報公告が行われ、同日付けで管轄登記所から通知書の発送を行いました。上記の株式会社や一般社団法人又は一般財団法人に該当する場合には、令和5年12月12日(火)までに必要な登記申請又は「まだ事業を廃止していない」旨の届出をする必要があり、これらの手続がされなかったときは、対象の会社等について「みなし解散の登記」がされることになります(会社法第472条、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第149条及び第203条)。」とあります。みなし解散の登記を避けるために必要な登記とその内容について解説いたします。