遺言書作成(パソコンで遺言書作成有識者会議で検討へ)

2023年10月23日

いよいよ、パソコン・スマホでの遺言が可能になるかもしれません。政府は法的効力がある遺言書をインターネット上で作成・保管できる制度の創設を調整する。署名・押印に代わる本人確認手段や改ざん防止の仕組みをつくり、デジタル社会で使いやすい遺言制度の導入により円滑な相続につなげることを目指します。そして、令和5年10月3日、有識者会議が発足しました。いよいよ、現実味が出てきましたね。

目次

1.デジタル遺言制度創設検討開始

2.デジタル遺言制度のメリット

3.偽造防止策として

4.もう士業はいらないのか?

5.まとめ


1.デジタル遺言制度創設検討開始

 「これまで紙でしか認められなかった遺言が、ついにパソコンやスマホからでも作成が可能になるというニュースがでましたね。」(令和5年5月5日 日本経済新聞)引用

 「遺言書を手書きの代わりにパソコンなどで作成できないか検討するため、法務省も参加する有識者会議が今週にも設置され、民法の改正も視野に議論が行われる見通しです。」(令和5年10月3日 NHK ニュース)引用 

 今までだと、自筆証書遺言ですと財産目録以外は、原則紙に直筆で書き込み、自署・押印が成立の要件となっていました。公正証書遺言も、公証人及び証人2名と自身で、書面上で書かれた内容について確認する作業が必要で、保管も書面での保管となっています。

 デジタル化されることにより、いったいどのようなメリットがあるのでしょうか。

2.デジタル遺言制度のメリット

 ①フォーマットに沿って入力するので、形式的な理由で無効になることがない。

  すでに、いろいろなサービスでフォームへの入力方式をとられていますが、今回のデジタル遺言制度も同様にフォーマットが用意されており、そこに入力する形で作成するみたいですので、自筆証書遺言のように自分なりの文章で書いたためにその内容が効力を生じないとはなり辛いと思います。全くないとは、現段階ではどのような仕組みを使ってするのかがわかりませんので、あえて全くないとは言い切れません。

 ➁紛失がなく、ブロックチェーン技術を使えば、改ざん防止も可能。

  デジタル空間で一番気になるのが、なりすましや改ざんといった不正行為のチェック機能だと思います。そこは、どうもブロックチェーン技術を使うみたいですね。

  ブロックチェーン技術とは、デジタル通貨ですでに実績のあるの技術ですね。改ざんがないことや所有者本人であることの証明をするための技術になります。

3.偽造防止策として

 いくらブロックチェーン技術を使っていても、作成の段階で成りすましていたらその信頼性が揺らいでしまいます。そこで、どうも偽造防止策として、「ネット上で顔撮影」+「電子署名」などで対応するみたいです。海外などでは、証人2名という事例もあるそうですので、今後の議論に注目ですね。

4.もう士業はいらないのか?

 確かに、デジタル遺言制度で「形式的なチェック役」としての士業の価値はなくなってくると思います。AIがどんどん学習して、使えるものとなったとき一般的な形式のチェックはAIがやってくれると思います。しかし、その前段階での「想定している遺産の分け方で起こりうる法律的・税務的問題と対策、意思決定支援」なんかは、まだまだ各専門士業の活躍できる部分であると私は考えています。

 スーツと同じで、既製品を買いたいと思うのか、オーダーメイドしたいと思うのかでその内容が異なってきますよね。

 ご相談者の中には「ふつうはこのように分けた方が一般的だし、税務面で有利なのはわかっているのだが、どうしても〇〇に遺産の半分はあげたいんだ。」といったご要望に、様々な角度からゴールまでの意思決定をサポートする分野においては、まだまだ専門士業の活躍の場はあるのではと思います。

5.まとめ

 今回のデジタル遺言制度の創設について、遺言のハードルが随分と下がってくると考えています。遺言を作成しておくことによるメリットは、とにかく大きいです。相続発生時の相続財産の帰属先が遺言により指定されていると、その内容により一応は決まります。その後に遺留分や相続分が少ないといった不満が出たとしても、一応は帰属先は決まることがメリットですよね。

 遺言がないと、相続人全員で遺産分割協議で帰属先を決めるまで、法定相続分において共有といった、宙に浮いたような状態になってしまいます。協議が長引けば、その間に亡くなる人も出てくるかもしれません。そうした場合、さらに相続人の数が増えていくことになります。また、特別な感情を持つような相続人、例えば離婚した前妻の子供であったり、子供のいない夫婦の義両親との遺産分割協議だったり、なかなか話し合いが進まないようなケースや、実質応じていただけそうにないケースなども遺言書があれば、とりあえず財産の帰属先は決まるわけです。

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