相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
(論点)登録免許税に関する備忘録(減算補正と名寄帳)

登録免許税は、不動産登記を行う際に発生する税金であり、その額は不動産の価値に税率を乗じて算定されます。不動産登記を進める上で、いくつかの場面で登録免許税を減算補正する必要が生じることがあり、その際に基準となる証明書類を適切に扱うことが求められます。ここでは、登録免許税を減算補正すべき場合と、登録免許税の算定基準となる証明書類について説明します。
目次
1.登録免許税を減算補正すべき場合
2.登録免許税の算定基準となる証明書類
3.まとめ
1.登録免許税を減算補正すべき場合

まずは、一般的な補正方法として、計算の基準となる固定資産税評価証明書の価格について、その固定資産台帳に記載のある地積が、登記簿謄本の地積は異なっている場合、以下のケースが考えられます。
①台帳の地積が登記簿の地積より小さい
この場合、価格の評価の地積と比較して登記簿の地積が置きくなるため、増加する補正が発生します。
➁台帳の地積が登記簿簿地積より大きい
通常は、登録免許税の計算の基になる価格の補正は発生しません。
しかし、➁の場合で、登記簿の地積の変更が登記申請をする年に実施されている場合、減算の補正が発生します。
下の図は、不動産の登記簿謄本の見本です。当該申請を行ったのが、令和6年中でしたので、令和6年内に地積の修正が入っていますので、減算補正の対象となります。

登記申請を行う際にその年に地積の変更が生じているにもかかわらず、それに基づく補正が行われないと、登録免許税を正確に計算されていないとみなされる可能性があり、減算補正の結果、算出され多く納められた登録免許税については、還付の手続きを取らなければなりません。ですので、地積変更があった場合には、登記申請時の登録免許税については、補正を行わなければなりません。これは、固定資産税の算定基準である価格を定める場合、1月1日を基準にしているためであり、その後発生した変更には対応するということだそうです。ただし、その年でなければ、この補正はしません。
2.登録免許税の算定基準となる証明書類

登録免許税の算定においては、不動産の価格が重要な基準となります。この「価格」は、市町村が発行する「固定資産税評価証明書」や「名寄帳」を基に算定されることが一般的です。これらの書類には、不動産の固定資産評価額が記載されており、その額に基づいて登録免許税が計算されます。
ただし、これらの証明書類に対する法的要件として、「公印の有無」が一つの判断基準となります。具体的には、証明書に市役所の公印が押されていることが、法務局での受理において重要視される場合があります。ある司法書士の先輩によると、公印が押されている書類であることが確認できれば、これが正式な証明書類として法務局に提出できるとされています。
しかしながら、地域によっては、市役所が発行する名寄帳に公印が押されていない場合があります。たとえば、あるケースでは、高松市役所発行の名寄帳には公印がなく、そのために登記手続きを進める際に困惑が生じました。この状況について、市役所に確認したところ、高松市の名寄帳には公印を押す慣習がないとの回答がありました。このようなケースにおいては、法務局に問い合わせを行い、適切な対応方法を確認することが必要です。
実際に法務局に問い合わせた結果、司法書士が名寄帳や固定資産税評価証明書の内容を確認し、正当な書類であることを確認していれば、公印がない場合でも問題なく手続きを進められるという回答を得ました。このように、地域によって書類の取り扱いが異なる場合があるため、必要に応じて法務局や市役所に確認を取りながら手続きを進めることが重要です。
※固定資産材評価証明書や名寄帳については、本来法定添付書類ではないため上記のような手順で運用されているそうです。
3.まとめ
不動産登記における登録免許税の算定には、いくつかのポイントがあります。まず、1つ目は地積の変更がある場合には、その変更を反映させて登録免許税を減算補正する必要がある場合が存在することです。
2つ目は、登録免許税の算定基準となる「価格」についてです。価格の証明書類としては、市役所が発行する「固定資産税評価証明書」や「名寄帳」があり、これらの書類が適切に発行されていることが確認されることが重要です。ただし、公印の有無が要件となる場合があり、地域によっては公印が押されていない名寄帳も存在します。このような場合、法務局への確認が必要ですが、司法書士による書類確認が行われていれば問題なく登記手続きを進めることができるという実例があります。
これらのポイントを踏まえながら、不動産登記の手続きを円滑に進めるためには、証明書類の取り扱いや法務局との連携が重要です。

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