(論点)相続登記を放置すると、なぜ大変になるのか3

2024年05月22日

相続登記を放置することによるリスクについて、相続人の状況は次第に変化するために、その調査が膨大になったり、新たな手続きをしなければ先に進めないといった事案を引き起こす可能性が出てきます。それでは、お話をしていきたいと思います。

目次

1.放置している間のリスク

2.長期放置していなくても

3.解決策はないのか?

4.まとめ


1.放置している間のリスク

 相続を長期放置していることで発生する可能性のあるリスクは、「相続人の状況が変わること」で引き起こされる、手続きなどの増加です。具体的な事案に対する手続きをお話しますと、

 ①放置している間に相続人が亡くなり、相続の範囲が広がってしまう

  相続人の調査対象範囲が広がります。当然、相続登記に必要な戸籍の取得数は増加します。

 ➁放置している間に相続人が認知症になってしまう

  成年後見人の申し立てを家庭裁判所に行い選任してもらい、その成年後見人と遺産分割協議をすることになります。

 ③放置している間に相続人が海外で居住し始める

  海外に居住すると「印鑑証明書」が日本国内で取得できなくなります。印鑑の制度のない外国の場合、領事館で「サイン証明」の手続きが必要になります。

 ④放置している間に相続人が行方不明になる

  7年経過していた場合、「失踪宣告」の手続きにより、家庭裁判所に当該相続人の「死亡みなし」をしてもらうことになります。7年を経過していない場合には、「不在者財産管理人」の選任を家庭裁判所に申立で、その不在者財産管理人も含めて遺産分割協議をすることになるのですが、当該相続人の法定相続分の確保が必要となります。

2.長期放置していなくても

 長期間放置していなくても、相続発生時に相続人の中に「認知症の方がいる」「海外居住者がいる」「行方不明者がいる」「前妻との間に子供がいる」などの状況があるケースがあります。被相続人が生前からこういった状況が発生している場合、相続が発生すると「遺産分割協議」は、難航すると思います。

 それでは、すでにこのような状況が発生している、もしくは近い将来、このような状況が発生する可能性が非常に高い場合、何らかの対策をとることはできないのでしょうか?

3.解決策はないのか?

 生前の相続対策として、「遺言書」で解決を図ることは可能です。遺言書を書いたからと言ってすべて万事解決、というわけではないのですが、少なくとも相続発生時に、残されたご家族に「遺産分割協議の呪縛」からは、少なからず解放されます。遺言書で遺産の帰属先を予め指定しておくことで、相続発生時に遺産が指定先に帰属します。自筆証書遺言の場合で法務局に保管していない場合には、検認の手続きが必要となります。また、その内容が法的に有効かどうかは、解りません。作成時に専門家の指導を受けて作成した場合には、有効となる可能性は高いのですが、そうでない場合は微妙です。ですので、公正証書遺言をお勧めいたします。公正証書遺言の場合、文面や内容は、遺言者とヒアリングをして公証人が作成してくれますので、検認も不要で、登記の際、公正証書遺言と相続の時とは比較できないほど少ない戸籍ですることができます。遺言書があれば、遺産分割協議で相続人全員でその内容を変更できる場合もあるのですが、そもそも遺産分割協議ができないまたは困難な状況なので利用する価値は十分にあると考えます。そして、遺言書の内容は、遺産分割協議の内容に優先します。

4.まとめ

 相続相談の内容で、問題となるのが遺産分割協議ができないなどのお話が多数を占めます。当該相続では、しんどい思いをされた方には、年齢に関係なく、今後ご自身の相続の対策として「公正証書遺言の作成」を強く薦めております。現状仲がいいこと度間の関係も、あなたという存在があって保たれている可能性があり、あなたが亡くなった場合、どうなるかは、誰にも予想が付きません。また、遺言は一度作成されても、その後、異なる内容の遺言書を作成することも可能です。残されたご家族のためにも、遺言書の作成をぜひご検討ください。

 アイリスでは、相続関連(相続登記だけでなくその生前対策も)の無料相談を随時受け付けております。いろいろとお話を聞くために、あえて時間設定は設けておりません。ただし、予約優先となりますので、必ず事前にお電話で予約をしてください。手続きが発生するまでは、相談の費用は掛かりません。(登記の方法を教えてほしい等、ノウハウを相談事項とする方は、ご遠慮ください)

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