【第3回】“養子縁組”で相続税の基礎控除を拡大する~法的に正しい活用法とは?~
「相続税が高くて困る…」「できるだけ税負担を軽くして財産を次世代に引き継ぎたい」――
こうした声に対し、"養子縁組"という法的手段を活用する方法があります。
海外が関連すると、相続手続きは一気にハードルが上がります。被相続人が海外で亡くなった場合、相続放棄の手続きは、どのようにすればいいのでしょうか?管轄の家庭裁判所ってどこになるのか?少しお話をしたいと思います。
目次
1.管轄の家庭裁判所はどこ?
2.どの士業にお願いすればいいのか
3.まとめ
1.管轄の家庭裁判所はどこ?
相続放棄の管轄の家庭裁判所は、被相続人(亡くなった方)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。その住所地が、海外であった場合、外国の裁判所への相続放棄というのが原則になるわけです。家事手続法では、日本の裁判所に相続放棄の管轄を認めていません。
しかし、その国に相続放棄のような手続きがそもそもなかったり、仮に相続放棄に類似の手続きがあっても、制約があり相続放棄類似の手続きができないといったことが起こりえます。さらに、首尾よく外国の裁判所で相続放棄ができたとしても、その効力が日本国内でも有効とは限りません。日本国内の債権者に対抗できない相続放棄の手続きをしたとしても、意味がありません。
このような場合、民事訴訟法で以下のように規定されています。
「(管轄裁判所の特例)
第十条の二 前節の規定により日本の裁判所が管轄権を有する訴えについて、この法律の他の規定又は他の法令の規定により管轄裁判所が定まらないときは、その訴えは、最高裁判所規則で定める地を管轄する裁判所の管轄に属する。」
相続放棄制度がないことや、日本での相続放棄の手続きが必要な理由を主張立証して、日本の家庭裁判所に相続放棄の緊急国際裁判管轄を認めてもらう必要があります。
そして、日本の裁判所に原則的に国際裁判管轄がない場合に、特別に日本の裁判所の緊急国際裁判管轄を認めてもらう場合の裁判所は必ず東京家庭裁判所になります。
海外に居住する被相続人が亡くなり、多額の借金がある場合、若しくは、すでに離婚した配偶者が海外で死亡し、債務がいくらあるのかわからないため、子に借金を負わせたくないなどの理由で、相続放棄の手続きを行う場合には、東京の家庭裁判所に問い合わせた方がいいです。ただし、事例的に取り扱った件数が多いようですとすんなり手続きに入れますが、緊急国際裁判管轄を認めてもらうためには、認めてもらう必要があることを立証しなければなりません。
2.どの士業にお願いすればいいのか
以上のように、緊急国際裁判管轄を認めてもらうためには、必ず東京家庭裁判所で行うことになります。ここで、どの士業に頼めば、手続きがスムーズに進むのかについてお話をしたいと思います。
司法書士は、読んで字のごとく「司法の書類作成をする者」となります。行政書士では無理です。しかし、今回のように書類作成のみならず、その前段階で「緊急国際裁判管轄」を認めてもらう必要がありますので、弁護士一択だと思います。
認定司法書士には、簡易裁判所における訴額140万円以下の民事訴訟については、訴訟代理人となることができますが、家庭裁判所は地方裁判所扱いです。書類作成だけで、ご本人に知識がなく代理人を必要としている場合は、認定司法書士でも出る幕はありません。
3.まとめ
他の相続手続きもそうなのですが、グローバル社会になっているのに、海外が関係すると、一気にそのハードルは高くなります。今回は、相続放棄ですので、相続発生後の対応になります。
しかし、遺産分割協議も外国に相続人が済んでいるというだけで、やはりハードルは上がります。この場合は、生前に遺言書を作成し、遺産分割協議をしなくてもいい様にしておくことで、煩雑な手続きを避けることができます。この場合でも、債務は相続人に来ますので、相続放棄をするとなると、海外から相続放棄手続きを被相続人の死亡地の住所地を管轄する家庭裁判所に行わなければなりません。当然ですが、期限もあります。
生前に、海外に居住している方は、事前に専門家に相談しておいた方がいいかもしれませんね。
「相続税が高くて困る…」「できるだけ税負担を軽くして財産を次世代に引き継ぎたい」――
こうした声に対し、"養子縁組"という法的手段を活用する方法があります。
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