(集客)ネット集客と不当誘致のリスク──高松市・香川県で司法書士が語る相続登記と相続対策の現実

2025年06月28日

香川県・高松市で相続登記義務化に対応する司法書士事務所では、ネット集客の活用とそのリスクに直面しています。不当誘致や地面師との関与を防ぐため、信頼性の高い相続対策をどのように実現するか。実体験をもとに考察します。

目次

  1. 新規顧客とネット集客のリスク
  2. 不当誘致とグレーゾーンの広告
  3. レッドオーシャン化するポータルサイト
  4. AI活用で広がるオウンドメディア戦略
  5. 犯罪臭のする問い合わせ事例
  6. 紹介中心の集客に戻る理由

1. 新規顧客とネット集客のリスク

 高松市や香川県内でも、相続登記義務化の影響により「相続登記」や「相続対策」に関する相談が増えています。それに伴い、司法書士事務所の間でも「ネット集客」の重要性が語られるようになっています。ホームページを作り、SEOや広告を駆使して新規顧客を獲得しようという流れです。しかし、同時に浮上してきたのが「新規顧客リスク」という課題です。なかには本人確認を拒否したり、違法性を含む依頼を持ちかける問い合わせもあり、事務所の信頼や法的責任に関わる重大な問題へと発展しかねません。

2. 不当誘致とグレーゾーンの広告

 近年、司法書士向けのネット広告サービスが増加し、一定の広告料を支払えば、ポータルサイト内で上位表示や目立つ場所に掲載されるというビジネスモデルが存在します。しかし、これらのサービスは「不当誘致」に該当する可能性があると懸念されています。私自身、司法書士法の趣旨を踏まえると、こうした仕組みは極めてグレーだと感じています。安易に手を出すと、業界内での信頼を損なうだけでなく、場合によっては処分の対象になるリスクもあるでしょう。

3. レッドオーシャン化するポータルサイト

 ポータルサイトは集客の入口として便利に見えますが、実態としては価格競争が激化する「レッドオーシャン」です。掲載事務所同士が「どこが一番安いか」を競い合う結果、依頼人の多くも価格だけで判断する傾向が強まり、サービスの質よりも金額に注目が集まります。香川県のような地域密着型の司法書士業務において、単価勝負になることは事務所の体力を削るだけでなく、本来の専門性を発揮しづらくなるという弊害をもたらします。

4. AI活用で広がるオウンドメディア戦略

 AIの登場により、私の事務所では過去に実現を断念した企画を次々と形にできるようになりました。オウンドメディア、すなわち自社運営のサイトやブログで発信する情報は、SEOにも強く、自由度が高いため、地域の相続登記や相続対策に関心のある方々に直接アプローチすることが可能です。たとえば、「高松市 相続登記 義務化」といったキーワードに対応した記事をタイムリーに発信すれば、広告に頼らずとも検索流入を見込めます。AIの力を借りれば、記事制作のスピードも格段に向上し、運用コストを抑えながら継続可能な集客手法となります。

5. 犯罪臭のする問い合わせ事例

 ネット経由で集客をしていると、時に不審な問い合わせも舞い込みます。私の事務所にも、「片言の日本語で会社を設立してほしい」「本人確認なしで不動産の名義を変えてほしい」「英語で依頼内容を伝え、情報は開示しないが登記してほしい」といった、明らかに危険な依頼が多数寄せられました。もちろん、すべて即座にお断りしましたが、こうした依頼は、ネット集客の副作用とも言えます。表面上は通常の依頼者に見えても、裏に地面師のような犯罪グループが関与している可能性もあり、慎重な対応が求められます。もちろん、ネットからの集客の多数が、普通の相談者であることを付け加えておきます。

6. 紹介中心の集客に戻る理由

 ある先輩司法書士に「ネットでの可能性をどう考えるか」と尋ねたところ、「やっぱり、紹介以外だと怖いからね」との返答が返ってきました。私も同感です。紹介経由の依頼は、紹介者との信頼関係が前提となっているため、犯罪リスクが極めて低く、業務の進行もスムーズです。もちろん、ネットを完全に否定するつもりはありませんが、ネット経由であっても信頼性の高いオウンドメディアを活用し、顔が見える運営を心がけるべきだと考えています。むしろ、顔の見えない価格競争に巻き込まれる前に、自分の理念とスタイルに合った集客方法を選ぶことが、司法書士としての自律と安全を守る道ではないでしょうか。ひいては、自分を信じて頼られたお客様に対し、継続して良質なサービスを提供し続けることにもつながると思います。

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