相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
第1回:「“うちは仲がいいから大丈夫”が一番危ない」──争族を防ぐ第一歩

「うちは仲がいいから、遺言なんて必要ない」と思っていませんか?
実は"仲のよさ"ほど危ういこともあります。
家族だからこそ、思い込みや遠慮がすれ違いを生み、取り返しのつかない争いになることも。
本記事では、司法書士の立場から「争族」を防ぐための最初の一歩を、わかりやすくお伝えします。
📖目次
- 「仲がいい家族ほど危ない」──よくある誤解
- "争族"が起こる本当の理由
- 遺言書は「財産の分け方」ではなく「思いを伝える手紙」
- 家族のために、今からできる3つの準備
- 司法書士が見た"もめなかった家族"の共通点
- まとめ:仲のよさを「形」にして残すということ
1. 「仲がいい家族ほど危ない」──よくある誤解

相続の相談を受けていると、よく耳にする言葉があります。
「うちは仲がいいから、うちは大丈夫です。」
多くの方が、遺言や生前対策を「もめる家の話」と思っているのです。
ところが、実際に争いに発展するのは、むしろ仲の良かった家族に多いのが現実です。
なぜなら、仲が良いからこそ「話し合わなくてもわかっている」「うちには遠慮がある」と、大切なことを言葉にしないまま時間が過ぎてしまうからです。
たとえば──
- 親が「長男が家を継ぐだろう」と思っていた
- 子どもは「平等に分けてくれると思っていた」
このような"お互いの思い込み"が、後に「そんなつもりじゃなかった」という溝を生んでしまうのです。
2. "争族"が起こる本当の理由

「相続トラブル=お金の問題」と思われがちですが、実際には感情のもつれが根本原因であることが多いです。
たとえ数百万円の差であっても、「自分だけ軽んじられた」「親に愛されていなかったのでは」という思いが膨らみ、修復が難しくなります。
争族が起こる主な理由は次の3つです。
- 公平と平等の違いを混同している
財産を"均等に分ける"ことが"公平"だとは限りません。
長男が親の介護を担っていた場合、全員が同じ額でも納得できないことがあります。 - 情報が共有されていない
誰がどんな財産を相続したのか、誰が何に関与していたのか──情報不足が疑念を生みます。 - 感情の整理ができていない
親が亡くなった直後は、悲しみの中で冷静な話し合いが難しい時期。
小さな誤解が"取り返しのつかない確執"に変わることも。
この3つを防ぐ唯一の方法が、「親の意思を事前に伝えておくこと」、つまり遺言書を残すことなのです。
3. 遺言書は「財産の分け方」ではなく「思いを伝える手紙」

多くの人が"遺言書"という言葉にかたさを感じます。
ですが、本来の遺言書は「法的な文書」であると同時に、家族へのメッセージでもあります。
たとえば──
「長男には、これまで家を守ってくれた感謝を込めて自宅を託します。」
「次男には、いつも支えてくれた気持ちをありがとう。平等でないかもしれませんが、あなたの理解を信じています。」
こうした一言が添えられるだけで、**"数字では測れない納得"**が生まれます。
遺言書は、残された家族が「なぜそうなったのか」を理解できるようにする、いわば"心の道しるべ"なのです。
4. 家族のために、今からできる3つの準備
争族を防ぐには、難しい手続きよりも"今できる準備"が大切です。
司法書士としておすすめするステップは、次の3つです。
① 財産の「見える化」をする
預貯金・不動産・保険などを一覧にまとめておきましょう。
「そんなに財産はない」と思っていても、実際に書き出すと家族が知らなかった情報が出てくることもあります。
② 家族の価値観を話し合う
どの財産に思い入れがあるか、誰がどのように関わっているか。
たとえば「実家は残したい」「畑は誰かに続けてほしい」など、家族の"気持ち"を共有する場を設けておくことが大切です。
③ 遺言書の相談を専門家にしてみる
自分で書くことも可能ですが、法的に有効な形式・文言を誤ると無効になるリスクがあります。
司法書士に相談すれば、「自筆証書」「公正証書」のどちらが合うかを具体的に提案できます。
5. 司法書士が見た"もめなかった家族"の共通点
これまで多数の相続案件に関わる中で、争わなかった家族にはある共通点があります。
それは、「親の考えを、家族全員が知っていた」ことです。
遺言書の内容を事前に伝えていたり、「こういう理由でこのように分ける」と話し合っていたりすると、いざ相続が始まっても「お父さんがそう言っていたから」と、冷静に受け止められるのです。
つまり、"対話のある家族"が"争わない家族"になるのです。
※絶対冷静になるとは限りません。割合的な話をしています。
6. まとめ:仲のよさを「形」にして残すということ
「うちは仲がいいから大丈夫」と信じられるのは素敵なことです。
けれど、その"仲のよさ"を守るためにこそ、言葉と形にして残すことが必要です。
遺言書は、家族の絆を壊すものではなく、守るための道具。
そして、それを書き始めることが「家族の未来を思いやる行動」そのものです。
どうか、"まだ元気な今"だからこそ、
家族への想いをやさしい言葉で残す準備を始めてみてください。

📞(無料相談会のご案内)
香川県での遺言・相続のご相談は
アイリス国際司法書士・行政書士事務所へ。
ご家族の状況に合わせた「争族にならない遺言」の形を、司法書士が丁寧にご提案します。
**初回相談は無料。**オンライン相談・休日相談も承ります。
→ お問い合わせはこちら


最新のブログ記事
認知症になってから生前対策すればいい?司法書士が断言します【答え:手遅れです】
「まだ元気だから、認知症になってから考えればいい」
これは、生前対策を先送りにする際に、最も多く聞かれる言葉です。
しかし結論から言えば、認知症になってからでは、生前対策の選択肢はほとんど残っていません。判断能力が低下すると、遺言書の作成や不動産の処分、贈与といった行為は原則としてできなくなるからです。
この記事では、認知症後に"できなくなること"と、"今だからこそできる対策"を、司法書士の実務視点で解説します。
家族が仲良しなら相続でもめない?司法書士が断言します【答え:最も危険な誤解です】
「うちは家族仲が良いから、相続でもめるはずがない」
これは、生前対策のご相談で最も多く聞く言葉です。
しかし結論から言うと、家族が仲良しなほど、相続でもめるリスクは高くなる傾向があります。相続トラブルの原因は法律知識の不足ではなく、期待のズレや感情の行き違いにあるからです。(仲がいいからもめるのではなく、相続発生後、揉めないケースもありますが、一番大きいのが感情のもつれだと感じます。)
この記事では、なぜ"仲の良い家族"ほど相続トラブルが起きやすいのか、そしてそれを防ぐために生前に何をすべきかを、司法書士の実務経験をもとに解説します。
遺言書を書けば相続は安心?司法書士が断言します【答え:それだけでは不十分】
「とりあえず遺言書だけ書いておけば安心」
これは、生前対策について非常に多い誤解です。
結論から言えば、遺言書は相続対策の重要な手段ですが、万能ではありません。遺言書で対応できるのは、主に「亡くなった後の分け方」です。一方で、認知症になった後の財産管理や、生前の家族間トラブル、感情的な対立までは解決できません。
この記事では、遺言書の限界と、実務で本当に必要とされる生前対策の考え方を解説します。


