「登記のドットコム問題」

2023年07月01日

先日、法務局に登記完了後の還付資料を取りに行った時の話です。窓口でもめている若い男性の方がいました。「○〇で、これだけ出したらいいと言っていたのに、なぜダメなんだ。」と言っているのが聞こえました。市役所などの行政機関でももめているのを見かけますが、それはお門違いというものです。登記を受け付けるかどうかの判断には、厳格な基準があり、受け付けてもらえる要件を具備しない限り、窓口では断られるのは当然です。「○〇」がオーソリティーではありません。それでは、専門家にお願いするのと、相続登記のネットサービスで登記するのとでは、どのような差があるのかを見ていきましょう。

目次

1.相続登記ネットサービスの概要

2.値段相応のサービスかどうか

3.金額だけで判断すること

4.まとめ


1.相続登記ネットサービスの概要

 私が、法務局で見かけたネットサービスの概要を見ていきます。

 ①相続による不動産の名義変更

  不動産が何筆あっても、相続人が何人いても海外にいてもOK

 ➁付随の預金口座の解約手続き代行で費用加算

  金融機関1社ごとに加算されるみたいです。

 値段は約8万円!(もちろん実費は別途かかります。)

 ここだけ見ると、確かに費用面からみると「安い」ですね。簡単な相続ならこれで十分だと思いますが、制度上「?」な点があります。

 司法書士報酬でが、以下の通りです。


2.値段相応のサービスかどうか

 サービスの概要を見ると、代行(使者として)で、本人申請の体で代行しているみたいですが、まず、専門家が手続きをやっているのかどうかはなはだ疑問です。仮に、司法書士が提携してやっている場合、運営会社の関係で、EAJ問題(不当誘致)の構図になってしまいます。HPを確認する限り、経営者はすべて輝かしい経歴をお持ちですが、法律の専門家は皆無です。顧問弁護士もいますが、会社に登録している司法書士は雇えません(競業禁止)。どうやって、運用しているのかがよく見えませんでした。HPには、専門家の勧誘するページもあり「シナジーが生まれる」と言ってますが、ちゃんと司法書士法を見ていただきたいものです。不当誘致は、司法書士にとって致命傷になりますからね。

 また、遺産分割協議書のとりまとめなどは、本人が行い、戸籍などはこの運用会社の方で取得しているみたいです。(職務上請求なのか委任状なのかはわかりませんが)

 運用の実態がよくわかりませんが、HPには、とにかく安いことを前面に出して、顧客をかこっているようですが、問題点も多いように思います。

3.金額だけで判断すること

 初めの事例で、代行の郵送申請がメインなのに、なぜ本人が法務局の窓口に来ていたのかは疑問が残るところですが、イレギュラーな取り扱いになってしまい、戸籍類の原本を渡し忘れたものと考えられます。原本還付手続きは、登記官の方が原本とコピーを確認し原本に間違いなかった場合に返却してくれる制度です。この辺りも、よくわかっていない状態で運用されているのかもしれませんね。

 この方も、安いからこのサービスを利用したものと考えますが、県外からわざわざ足を運び、窓口で断られたら、そのお気持ちは察します。

 しかし、専門家に頼んでおけば、人生の大事な時間を無駄にすることはなかったでしょう。

 

4.まとめ

 専門家に登記をお願いするということは、専門的な知識から適切なアドバイスを受けることができ、登記についても代理申請をすることができます。本人申請の場合、不備などがあった場合には、補正がかかります。その補正は、本人に通知が行くこととなり、遠方にお住まいの方にとっては、時間とお金を余計に費やすことになります。特に働き盛りの年代の方が、登記をするにあたり、本人申請の体をとることはリスクがあります。代理申請なら、代理人が全て対応いたします。ご協力をお願いするケースはありますが、書類がそろい申請する段階では、お手間をかけることはほとんどありません。

 アイリスでは、無料相談を実施しております。複雑な相続にも、お時間をいただくことになりますが対応しております。ぜひこの機会に、法律無料相談をご活用ください。

最新のブログ記事

令和7年5月14日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。

相続登記の際、遺産分割協議書は非常に重要な書類となります。しかし、時折相談者から「やってもいない遺産分割協議についての協議書が送られてきた」といった疑問や不安の声が寄せられることがあります。このような場合、法令に違反している可能性もありますが、協議の認識に誤解がある場合も少なくありません。本稿では、遺産分割協議書が郵送された場合の対応方法や注意すべき点について、実際の事例を交えながら解説します。

相続が発生した際、遺産をどのように分割するかを決定するために、相続人全員で遺産分割協議を行います。遺産分割協議書は、その合意内容を正式に書面で残すものであり、特に不動産の相続登記を行う際に必須の書類となります。しかし、この協議書の内容が不備であったり、相続人全員の同意が得られていない場合、後々のトラブルを招くことがあります。本稿では、遺産分割協議書を作成する際に注意すべき点について詳しく解説し、トラブルを未然に防ぐための対策を考察します。

相続が発生した際、不動産の所有権移転を行うためには、相続登記を行う必要があります。一般的な相続登記では、父親が死亡し、配偶者と子供が相続人となるケースがよく見られます。この際に必要となる添付書類は、法定相続分による登記と、二次相続対策として子供に所有権を移転する場合で異なります。特に二次相続に備えるための所有権移転には慎重な準備が必要です。本稿では、それぞれのケースでの必要な書類を整理し、どのように進めるべきかを解説します。

<