【第3回】 管理組合が機能しないマンションの現実 ― 滞納・理事不足・外国人オーナー問題…法改正だけでは解決しない理由 ―

2026年04月22日

2026年の区分所有法改正により、マンションは「決めやすく」なります。
しかし、それだけで問題が解決するわけではありません。

なぜなら、管理組合の最大の問題は「法律」ではなく、
人がいない・参加しない・払わない という"運営そのものの崩れ"だからです。

理事のなり手不足、総会が開けない、管理費滞納の増加、外国人や投資オーナーの増加、民泊トラブル…。
現場ではすでに「管理組合が機能しないマンション」が現実のものとなっています。

今回は、法改正の前に知っておきたい「機能不全の実態」を深掘りします。

目次

1 管理組合が機能しないマンションが急増している
2 典型例① 理事がいない
3 典型例② 総会が成立しない
4 典型例③ 管理費滞納の連鎖
5 典型例④ 外国人・投資オーナー問題
6 典型例⑤ 民泊・短期賃貸トラブル
7 管理費値上げスパイラルの恐怖
8 法改正しても解決しない理由
9 本当に必要なのは「参加率」と「当事者意識」
10 まとめ


1 管理組合が機能しないマンションが急増している

近年、司法書士や弁護士、管理会社の現場でよく聞く言葉があります。

それが
「このマンション、もう管理組合が回っていません」
というものです。

   ・理事がいない

   ・総会が開けない

   ・滞納が増える

   ・修繕が止まる

法的には存在していても、実態としては"自治が崩壊している"。

こうしたマンションが、地方都市だけでなく、都市部でも増えています。

区分所有建物は本来「共同体」で成り立つ仕組みです。
しかし、その共同体が崩れると、制度は一瞬で機能停止します。

2 典型例① 理事がいない

最も多い相談がこれです。

「理事のなり手がいない」

   ・高齢化

   ・賃貸化

   ・仕事が忙しい

   ・責任を負いたくない

結果として、理事の押し付け合いが起こります。

中には、

「役員が決まらないから総会が開催できない」

という本末転倒なケースもあります。

理事会がなければ、

   ・滞納督促

   ・修繕計画

   ・業者選定

   ・会計管理

すべてが止まります。

管理組合は事実上の"会社"と同じです。
経営陣不在の会社が回らないのと同じ現象が起きているのです。

3 典型例② 総会が成立しない

次に多いのが総会不成立。

出席率が30〜40%程度しかないマンションも珍しくありません。

理由は単純です。

   ・関心がない

   ・委任状を出さない

   ・投資物件で放置

この状態では、どんな議案も決議できません。

大規模修繕も、エレベーター更新も、何も進まない。

結果、建物は老朽化し、資産価値は下がり続けます。

これが「管理不全マンション」と呼ばれる状態です。

4 典型例③ 管理費滞納の連鎖

管理費滞納は、さらに深刻です。

最初は1戸の滞納でも、やがて連鎖します。

「払わなくても大丈夫らしい」

この空気が広がるからです。

滞納が増えると、

   ・修繕積立金不足

   ・工事延期

   ・サービス縮小

そしてついに、

   ・管理費値上げ

となります。

すると、今度は支払えない人がさらに増える。

負の連鎖が始まります。

5 典型例④ 外国人・投資オーナー問題

最近増えているのが、

「所有者がマンションに住んでいない」問題

です。

   ・海外投資家

   ・遠方オーナー

   ・法人保有

   ・賃貸専用化

こうなると、

   ・総会に出席しない

   ・連絡が取れない

   ・管理に無関心

管理組合は「当事者」が減っていきます。

特に外国人オーナーの場合、

   ・言語の壁

   ・住所不明

   ・滞納時の回収困難

といった実務上の課題も発生します。

法律上の権利者でも、運営上は"幽霊所有者"になってしまうのです。

6 典型例⑤ 民泊・短期賃貸トラブル

さらに近年は民泊問題。

   ・騒音

   ・ゴミ

   ・治安不安

   ・共用部の無秩序利用

居住者とのトラブルが絶えません。

しかし規約変更をしようにも、総会が成立しない。

ルールを作れない。

結果、住環境が悪化 → 退去 → 空室増加。

これも管理不全を加速させます。

7 管理費値上げスパイラルの恐怖

最終的に起きるのがこれです。

滞納増加
 ↓
資金不足
 ↓
管理費値上げ
 ↓
さらに滞納増加

この「値上げスパイラル」に入ると、抜け出すのは困難です。

市場価値も下がり、「売れないマンション」になります。

実際、地方では競売でも買い手がつかない事例も出ています。

マンションは管理で価値が決まる。

これは不動産実務の鉄則です。

8 法改正しても解決しない理由

ここが重要です。

今回の区分所有法改正で、

   ・決議はしやすくなる

   ・所在不明者は除外できる

確かに制度は改善されます。

しかし、

理事がいない
参加者がいない
払う人がいない

この問題は法律では解決できません。

法律は「道具」にすぎないからです。

道具を使う人がいなければ、何も変わらないのです。

9 本当に必要なのは「参加率」と「当事者意識」

結局のところ、

マンション管理の本質は

「住民自治」

です。

   ・総会に参加する

   ・役員を引き受ける

   ・ルールを守る

   ・費用を負担する

この当たり前の積み重ねが、資産価値を守ります。

制度よりも、文化。

法律よりも、人。

これが現場で痛感する真実です。

10 まとめ

管理組合が機能しないマンションは、今後さらに増えます。

そして、

「買ってから後悔する」

人も増えるでしょう。

これからの時代は、

✔ 管理が機能しているか
✔ 参加率は高いか
✔ 滞納はないか

これを確認せずにマンション購入はできません。

問題の本質は「法律」ではなく「人」。

ここを理解することが、区分所有建物と付き合う第一歩です。

次回は、管理費滞納問題とその法的対処法(差押え・競売・実務対応)について詳しく解説します。

最新のブログ記事

Share
<