【第5回(総まとめ)】これからのマンション管理はどうすべきか? ― 区分所有建物の根本問題と実務的対策 ―

2026年04月24日

2026年の区分所有法改正により、マンションは「決めやすく」なります。
しかし、それだけでマンションの問題が解決することはありません。

なぜなら、区分所有建物の本質的な課題は、法律ではなく、
人・合意形成・運営 にあるからです。

マンションは
「買ったら終わりの不動産」ではありません。

これからは
「住民全員で運営する不動産」 です。

今回はシリーズの総まとめとして、区分所有制度の根本問題と、管理組合が今すぐ取るべき現実的な対策を整理します。

目次

1 区分所有制度の根本的欠陥とは
2 合意形成の難しさという宿命
3 無関心所有者とフリーライダー問題
4 マンションは「不動産」なのに「共同経営体」
5 法改正だけでは解決しない理由
6 これから管理組合がやるべき実務対策
7 外部専門家を活用する時代へ
8 情報共有と参加率が未来を決める
9 「管理が資産価値を決める時代」へ
10 まとめ


1 区分所有制度の根本的欠陥とは

まず理解すべきことがあります。

それは、

区分所有制度は、構造的にトラブルが起きやすい仕組みである

という事実です。

戸建て住宅なら、自分一人で決められます。

しかしマンションは違います。

   ・廊下

   ・エレベーター

   ・外壁

   ・配管

   ・敷地

すべてが共有財産です。

つまり、

自分の家なのに、自分だけでは何も決められない

これが出発点なのです。

ここに制度的な難しさがあります。

2 合意形成の難しさという宿命

例えば大規模修繕。

やるべきと分かっていても、

   ・お金がない人

   ・まだ大丈夫と思う人

   ・関心がない人

考え方はバラバラです。

10人いれば10通りの意見がある。

それを多数決でまとめる。

これは本質的に「政治」に近い作業です。

マンション管理とは、実は小さな民主主義なのです。

そして民主主義は、常に面倒で、時間がかかります。

これは制度上、避けられない宿命です。

3 無関心所有者とフリーライダー問題

さらに深刻なのが「無関心」です。

   ・総会に出ない

   ・委任状も出さない

   ・理事はやらない

   ・でも恩恵は受ける

いわゆる

フリーライダー(ただ乗り)

です。

この存在が増えるほど、

真面目な人の負担だけが重くなります。

理事の固定化
疲弊
担い手不足

そして最終的に、

「もう誰もやりたくない」

管理崩壊へと進みます。

これは法律では解決できません。

人の問題だからです。

4 マンションは「不動産」なのに「共同経営体」

ここが最大の誤解ポイントです。

多くの方は、

「マンション=不動産(モノ)」

だと思っています。

しかし実態は違います。

マンションとは、

✔ 建物の維持管理
✔ 会計
✔ 合意形成
✔ 滞納回収
✔ 修繕計画

を行う

小さな会社(経営体)

なのです。

つまり、

所有者全員が株主であり、経営者でもある。

この意識がなければ、必ず機能不全になります。

5 法改正だけでは解決しない理由

今回の区分所有法改正で、

   ・決議要件緩和

   ・所在不明者除外

   ・再生制度整備

確かに制度は改善します。

しかし、

理事がいない
参加しない
払わない

これらは一切解決しません。

法律は「決め方」を整えるだけ。

「運営する人」までは作ってくれないのです。

だから法改正だけでは足りないのです。

6 これから管理組合がやるべき実務対策

では何をすべきか。

答えはシンプルです。

地道な運営強化

これに尽きます。

具体的には、

・規約整備

 民泊禁止、滞納対応、所在不明者対応など明文化

・早期督促

 6か月以内に必ず法的措置

・管理人制度活用

 高齢・不在所有者への対応策

・名簿整備

 連絡先・相続状況の把握

・理事会の仕組み化

 役割分担・マニュアル化

派手さはありませんが、これが最も効果的です。

7 外部専門家を活用する時代へ

もう一つ重要なのが、

「自分たちだけで抱え込まない」こと

です。

これからのマンション運営は、

   ・司法書士

   ・弁護士

   ・管理士

   ・管理会社

外部専門家の関与が前提になります。

会社経営と同じで、専門家を入れた方が圧倒的にうまく回ります。

「住民だけで何とかする時代」は終わりつつあります。

8 情報共有と参加率が未来を決める

結局、最も重要なのは

参加率

です。

   ・総会出席

   ・理事就任

   ・情報共有

   ・コミュニケーション

これが高いマンションほど、資産価値が安定します。

逆に参加率が低いマンションは、例外なく衰退します。

制度より、文化。

これが現場の実感です。

9 「管理が資産価値を決める時代」へ

これからは、

立地や築年数だけでは価値は決まりません。

同じ築年数でも、

管理が良いマンション → 高値
管理が悪いマンション → 売れない

この差がはっきり出ます。

すでに市場はそう動いています。

つまり、

管理=資産価値

の時代です。

管理に無関心でいることは、自分の財産を放置することと同じです。

10 まとめ

5回にわたり解説してきましたが、結論は一つです。

マンションは

「買ったら終わり」ではなく
「運営する不動産」

です。

   ・参加する

   ・支える

   ・ルールを守る

この当たり前の積み重ねが、将来の価値を守ります。

制度より、人。
法律より、運営。

これが区分所有建物と付き合う最大のポイントです。

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