相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
【第5回(総まとめ)】これからのマンション管理はどうすべきか? ― 区分所有建物の根本問題と実務的対策 ―

2026年の区分所有法改正により、マンションは「決めやすく」なります。
しかし、それだけでマンションの問題が解決することはありません。
なぜなら、区分所有建物の本質的な課題は、法律ではなく、
人・合意形成・運営 にあるからです。
マンションは
「買ったら終わりの不動産」ではありません。
これからは
「住民全員で運営する不動産」 です。
今回はシリーズの総まとめとして、区分所有制度の根本問題と、管理組合が今すぐ取るべき現実的な対策を整理します。
目次
1 区分所有制度の根本的欠陥とは
2 合意形成の難しさという宿命
3 無関心所有者とフリーライダー問題
4 マンションは「不動産」なのに「共同経営体」
5 法改正だけでは解決しない理由
6 これから管理組合がやるべき実務対策
7 外部専門家を活用する時代へ
8 情報共有と参加率が未来を決める
9 「管理が資産価値を決める時代」へ
10 まとめ
1 区分所有制度の根本的欠陥とは

まず理解すべきことがあります。
それは、
区分所有制度は、構造的にトラブルが起きやすい仕組みである
という事実です。
戸建て住宅なら、自分一人で決められます。
しかしマンションは違います。
・廊下
・エレベーター
・外壁
・配管
・敷地
すべてが共有財産です。
つまり、
自分の家なのに、自分だけでは何も決められない
これが出発点なのです。
ここに制度的な難しさがあります。
2 合意形成の難しさという宿命

例えば大規模修繕。
やるべきと分かっていても、
・お金がない人
・まだ大丈夫と思う人
・関心がない人
考え方はバラバラです。
10人いれば10通りの意見がある。
それを多数決でまとめる。
これは本質的に「政治」に近い作業です。
マンション管理とは、実は小さな民主主義なのです。
そして民主主義は、常に面倒で、時間がかかります。
これは制度上、避けられない宿命です。
3 無関心所有者とフリーライダー問題
さらに深刻なのが「無関心」です。
・総会に出ない
・委任状も出さない
・理事はやらない
・でも恩恵は受ける
いわゆる
フリーライダー(ただ乗り)
です。
この存在が増えるほど、
真面目な人の負担だけが重くなります。
理事の固定化
疲弊
担い手不足
そして最終的に、
「もう誰もやりたくない」
管理崩壊へと進みます。
これは法律では解決できません。
人の問題だからです。
4 マンションは「不動産」なのに「共同経営体」

ここが最大の誤解ポイントです。
多くの方は、
「マンション=不動産(モノ)」
だと思っています。
しかし実態は違います。
マンションとは、
✔ 建物の維持管理
✔ 会計
✔ 合意形成
✔ 滞納回収
✔ 修繕計画
を行う
小さな会社(経営体)
なのです。
つまり、
所有者全員が株主であり、経営者でもある。
この意識がなければ、必ず機能不全になります。
5 法改正だけでは解決しない理由
今回の区分所有法改正で、
・決議要件緩和
・所在不明者除外
・再生制度整備
確かに制度は改善します。
しかし、
理事がいない
参加しない
払わない
これらは一切解決しません。
法律は「決め方」を整えるだけ。
「運営する人」までは作ってくれないのです。
だから法改正だけでは足りないのです。
6 これから管理組合がやるべき実務対策

では何をすべきか。
答えはシンプルです。
地道な運営強化
これに尽きます。
具体的には、
・規約整備
民泊禁止、滞納対応、所在不明者対応など明文化
・早期督促
6か月以内に必ず法的措置
・管理人制度活用
高齢・不在所有者への対応策
・名簿整備
連絡先・相続状況の把握
・理事会の仕組み化
役割分担・マニュアル化
派手さはありませんが、これが最も効果的です。
7 外部専門家を活用する時代へ
もう一つ重要なのが、
「自分たちだけで抱え込まない」こと
です。
これからのマンション運営は、
・司法書士
・弁護士
・管理士
・管理会社
外部専門家の関与が前提になります。
会社経営と同じで、専門家を入れた方が圧倒的にうまく回ります。
「住民だけで何とかする時代」は終わりつつあります。
8 情報共有と参加率が未来を決める
結局、最も重要なのは
参加率
です。
・総会出席
・理事就任
・情報共有
・コミュニケーション
これが高いマンションほど、資産価値が安定します。
逆に参加率が低いマンションは、例外なく衰退します。
制度より、文化。
これが現場の実感です。
9 「管理が資産価値を決める時代」へ

これからは、
立地や築年数だけでは価値は決まりません。
同じ築年数でも、
管理が良いマンション → 高値
管理が悪いマンション → 売れない
この差がはっきり出ます。
すでに市場はそう動いています。
つまり、
管理=資産価値
の時代です。
管理に無関心でいることは、自分の財産を放置することと同じです。
10 まとめ
5回にわたり解説してきましたが、結論は一つです。
マンションは
「買ったら終わり」ではなく
「運営する不動産」
です。
・参加する
・支える
・ルールを守る
この当たり前の積み重ねが、将来の価値を守ります。
制度より、人。
法律より、運営。
これが区分所有建物と付き合う最大のポイントです。

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