【第1回】生命保険契約照会制度とは~亡くなった家族に保険があるか調べる方法と注意点~

2025年09月29日

「亡くなった親や配偶者に生命保険があったか分からない」「保険証券が見当たらないけれど、保険金の請求漏れが心配」。そんなお悩みを抱える相続人の方にとって、2021年7月から始まった「生命保険契約照会制度」は心強い制度です。本記事では、生命保険契約照会制度の仕組みや対象者、照会できる情報の内容をわかりやすく解説します。制度を利用するメリットや注意点も取り上げているので、生命保険の相続に不安がある方はぜひ参考にしてください。

【目次】

  1. 生命保険契約照会制度とは?
  2. 照会できる対象者と条件
  3. 照会の申込み先とできること
  4. 保険会社に直接問い合わせる方法との違い
  5. 制度を利用するメリット・デメリット
  6. まとめ:大切な人の保険を見逃さないために
  7. 【CTA】専門家に相談して確実な手続きを

1. 生命保険契約照会制度とは?

 生命保険契約照会制度は、一般社団法人生命保険協会が運営する公的な照会制度で、亡くなった家族(被相続人)が加入していた生命保険契約の有無を一括で調べることができます。

 かつては、どの保険会社に加入していたか分からない場合、すべての会社に一つひとつ問い合わせる必要があり、大きな労力がかかっていました。この制度により、相続人や一定の利害関係者は、複数の保険会社を横断的に調べることが可能になりました。

2. 照会できる対象者と条件

 この制度を利用できるのは、以下のような人々です:

  • 被相続人の相続人(配偶者・子など)
  • 遺言で指定された受遺者
  • 成年後見人など法的代理人
  • 葬儀を行った方(死亡の事実を証明できる人)

 いずれも、死亡の事実を証明する書類(死亡診断書や住民票の除票)や、相続関係を示す戸籍謄本などが必要になります。

 なお、生前に本人の同意なしで第三者が照会することはできません。制度は「死亡後の契約有無確認」を目的としており、プライバシー保護にも配慮されています。

3. 照会の申込み先とできること

 申し込みは、生命保険協会の公式サイト(https://www.seiho.or.jp/)からオンラインまたは郵送で行うことができます。申し込み後、おおむね2週間以内に結果が通知されます。

【照会に必要な情報・書類(一例)】

  • 照会依頼者の本人確認書類
  • 死亡を証明する書類(住民票の除票など)
  • 相続関係が分かる戸籍関係書類
  • 葬儀の領収書(葬儀を行った者として申し込む場合)

 照会結果には「保険契約の有無」が記載されており、契約がある場合には、該当の保険会社名が通知されます。その後は、個別に保険会社に連絡を取り、契約内容や保険金請求の手続きに移ります。

4. 保険会社に直接問い合わせる方法との違い

生命保険契約照会制度は、保険会社ごとに個別に照会する方法と比べ、以下のような違いがあります。


制度を利用すれば、保険会社を特定する手間を省き、確実な情報収集が可能になります。

5. 制度を利用するメリット・デメリット

メリット:

  • 全国の主要保険会社を一括して調査できる
  • 保険証券が見つからない場合でも対応可能
  • 相続漏れや請求忘れを防げる

デメリット:

  • 費用が3,000円かかる
  • 契約の詳細までは分からず、別途保険会社と連絡が必要
  • 契約者のマイナーな共済などは対象外の場合もある

とはいえ、大手の生命保険会社はほぼ網羅されており、相続手続きの第一歩として非常に有効です。

6. まとめ:大切な人の保険を見逃さないために

 相続は突然やってくるものです。葬儀や手続きに追われる中で、生命保険の存在に気づかず、受け取れるはずの保険金を失うケースも少なくありません。

 生命保険契約照会制度は、そうしたリスクを軽減するための実用的なツールです。戸籍や住民票などの必要書類をそろえ、しっかりと活用すれば、相続人の権利を守る強力な味方になります。

【CTA】生命保険の調査や相続手続きでお困りなら、専門家に相談を

生命保険契約の照会だけでなく、その後の請求手続きや相続税の対応、不動産の名義変更など、相続にはさまざまな専門知識が求められます。

当事務所では、相続全般にわたるご相談を受け付けております。
相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

※ノウハウを教えてほしいという相談にはお答えできません。

アイリス国際司法書士・行政書士事務所
司法書士・行政書士 橋本大輔
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