司法書士試験受験対策(複数回数受験生へ 年内学習の持つ意味)

2023年10月15日

私が令和2年度の司法書士試験を受験したとき、コロナの影響もあり3か月遅れての開催でした。つまり受験日は10月だったわけですが、受験日の夜、予備校の解答速報を見て落ちていることがわかり、素早く学習に移行しました。通常だと10月は、試験結果の発表の時期でもあります。複数受験をされている方の中で今年もだめだった方、安心してください。私も合格した令和3年度の試験まで、9か月という同じ条件でした。結果は全国4位での合格。どのように知識をブラッシュアップしていったのかをお話いたします。合格体験記はあてにはなりませんが、私は3月からの直前期を毎日記録しています。ですので、精神論や根性論ではお話はいたしません。できるだけ具体的にお話をしたいと思います。

目次

1.試験合格のための勉強から実務想定の学習に

2.試験期間が短いことがハンディキャップではない

3.年内学習(何をどうすればいいのか)

4.まとめ


1.試験合格のための勉強から実務想定の学習に

 司法書士試験は、他の士業の試験と決定的に違うところがあります。それは、「実務家養成試験」である点です。試験でそれなりの成績を取得することができれば、即独立も可能だということです。私自身、全くの実務未経験で、配属研修のみで独立し、現在に至ります。

 実務を想定すると聞くと難しく感じるかもしれませんが、要は、記述の問題を解くときなんかに、いきなり事務所に飛び込みの客が来て、問題文の説明をして帰っていったと想定して、問題を解いていきます。過去問だけでなく、予備校の模試などの問題をこなしていくとわかるのですが、少しずつ「注意すべき点」がわかってくると思います。

 また、主要4科目と呼ばれる、「民法・会社法・不動産登記法・商業登記法」についても同様に、択一の問題ではあるのですが、その質問の意図している部分にフォーカスを当て、その部分の知識とその周辺知識を洗い出す作業が必要です。

 択一も記述も同じことが言えるのですが、間違えたときは、皆さんその論点を覚えていると思います。しかし、残念ながら、時間がたてば忘れてしまいます。脳の中の引き出しがしっかりするまで、ノートなどの紙媒体にその内容を控えるようにしましょう。当然ですが、そのメモは次第に多くなってきます。あとで見返せるようにしておくことが大切です。1週間に一度、そのメモを見てください。忘れている問題は、その場でもう一度解きなおし、なぜ間違えたのかを思い出してください。この時、忘れていたメモと覚えていたメモを分けてください。覚えていたメモは、各週ごとの作業を繰り返し、月一でチェックしてください。覚えていたメモの中にも、忘れている者が出てくるはずです。こちらもその場で確認し、覚えていないメモに入れ込みましょう。

 マイナー科目については、時間に余裕がある場合、今まで学習して身についてない部分を中心に触れていくことをお勧めいたします。

2.試験期間が短いことがハンディキャップではない

 試験期間が1年あった場合と9か月の場合では、初学者でない限りほとんど差が出ないと思います。ただし、期間が半年を切ってくると、絶対的にまとめに必要な時間が足りない可能性が出てきますので、この場合は除きます。そもそも私は、半年以内でのまとめは、想定していませんでしたから。

 この3か月間での差が出ないとはどういうことかと言いますと、直前期(大体3月あたり)から始まる問題・暗記の繰り返し期間までに、どのくらいの自分の不得意な箇所のまとめができているかにかかってくるからです。直前期までに、このまとめが甘いと、繰り返すべき道具が、自分用にカスタマイズされたものではなく、テキストや問題集となってきます。そうすると、そのタイミングで膨大な情報を基に、知っている問題も含めた確認作業となってしまい、学習効率が悪くなります。ですので、自分用にカスタマイズされた暗記・演習問題の道具を直前期間瀬に作っておかないと、少ししんどいですね。

3.年内学習(何をどうすればいいのか)

 年内は、独学で学習されている方は、今使っているテキストを1周させて、解らなかったポイントの資料を順次作成していってください。予備校で学習されている方は、まだマイナー科目まで進んでいないと思いますので、主に主要4科目に絞って自分用のわかっていないポイントをまとめた資料や穴埋め問題的なものを作成していってください。ゆとりがある方は、「民事訴訟法」をまとめておいた方がいいと思います。問題数や内容から見て、マイナーとは呼べないですからね。

 私は、75mm四方の正方形の100均で売っている付箋を使っていました。その付箋をA6ぐらいのメモ帳に貼り付けていき、最終的には模試などの問題で同じ論点の個所に移して貼り付け、どうしても覚えられない箇所の付箋を問題を解くのと同時にこなせるように、自分用の直前期に回す道具として作成していきました。

 すぐに効率よく付箋メモを作成できるわけではありませんので、年内使っていろいろ試してみてください。自分なりにやりやすい方法が、あなたに合った方法だと思います。

 そして出来上がった、自分仕様の回す道具こそが、直前期に活躍してきます。ただし、定期的に、テキスト全般を見直す期間を設けてください。少なくとも3回繰り返せば、それは立派な道具となっていると思います。

※暗記項目に「発起人の全員で決定するもの ア 3つ」と書かれているものがあると思いますが、3つ思い出せて書けるまで繰り返しました。そして1順して戻ってきたときにすんなりかけるかどうかを確認しています。

あとは、テキストごとに、いつ何をしたのかについて、記録をとるようにしましょう。

年内は日付のみで、直前期には日付と所要時間を記録していました。記録することで、比較きるようになります。例えば、会社法のこの部分は結構時間を使っているのにまだまだ覚えられていないとか。一日どのくらい学習したのかの目安にもなります。はじめのうち時間を書かなかったのは、直前期の倍以上の時間をかけ丁寧に解いていたからです。ルーティーン化することで、時間的な効率は高まります。しかし、択一問題の〇×だけでは、答えを覚えている可能性があるため、このような穴埋め問題付箋を使い、根本知識の確認をしているわけです。

4.まとめ

 直前期までの学習で、目標なく学習していると、どうしてもわかった気になっている部分が手薄となり、これが試験の致命傷になる場合があります。ですので、年内使って学習しながら、直前期に自分用にカスタマイズした「回す道具」を作成するのに費やしてください。

 付箋メモは、穴埋め問題や、暗記物のヒントのみを書いておき、そこから知識を引っ張り出せるようにすることが目的となります。いろいろ工夫して、自分に合ったものを作成してください。

最新のブログ記事

令和7年5月14日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。

相続登記の際、遺産分割協議書は非常に重要な書類となります。しかし、時折相談者から「やってもいない遺産分割協議についての協議書が送られてきた」といった疑問や不安の声が寄せられることがあります。このような場合、法令に違反している可能性もありますが、協議の認識に誤解がある場合も少なくありません。本稿では、遺産分割協議書が郵送された場合の対応方法や注意すべき点について、実際の事例を交えながら解説します。

相続が発生した際、遺産をどのように分割するかを決定するために、相続人全員で遺産分割協議を行います。遺産分割協議書は、その合意内容を正式に書面で残すものであり、特に不動産の相続登記を行う際に必須の書類となります。しかし、この協議書の内容が不備であったり、相続人全員の同意が得られていない場合、後々のトラブルを招くことがあります。本稿では、遺産分割協議書を作成する際に注意すべき点について詳しく解説し、トラブルを未然に防ぐための対策を考察します。

相続が発生した際、不動産の所有権移転を行うためには、相続登記を行う必要があります。一般的な相続登記では、父親が死亡し、配偶者と子供が相続人となるケースがよく見られます。この際に必要となる添付書類は、法定相続分による登記と、二次相続対策として子供に所有権を移転する場合で異なります。特に二次相続に備えるための所有権移転には慎重な準備が必要です。本稿では、それぞれのケースでの必要な書類を整理し、どのように進めるべきかを解説します。

<