(令和6年2月27日テレビ静岡記事引用)
「成年後見人の立場を悪用して、認知症の母親の口座から現金 約890万円を引き出したとして42歳の派遣社員の男が逮捕されました。
業務上横領容疑で逮捕されたのは千葉県市川市に住む契約社員の男(42)で、認知症になった実の母親の成年後見人に選任されていた2020年7月から2021年11月までの間、自らが使用する目的で母親の口座から40回以上にわたって現金
計890万円を引き出した疑いです。
警察によると、男は累計の出金額が多額だったため2021年11月に成年後見人を解任されていて、その後、後見人に選任された弁護士が刑事告訴していました。
男は容疑を認めていて、警察が犯行の動機や金の使い道などを調べています。」(記事引用終わり)
記事を見る限り、成年後見人に選任された家族が、被成年後見人(本人)の口座の管理を任されているのも関わらず、自分で使用する目的で預金を使い込んだというものです。
2.問題が引き起こす連鎖反応
以前、他士業の方から、成年後見の申し出を出してほしいとの話をいただきましたが、断った経緯があります。その理由として、成年後見人として指定者されていたのが、家族だったからです。財産は比較的少ない方だったのですが、リーガル登録(成年後見人としての講習を受け、登録をしている)されている司法書士の先生にお願いするようにアドバイスしました。財産の多い少ないの問題でなく、専門家でない成年後見人が選任された場合には、上記のようなことが発生しうるからです。ただし、成年後見人を選任するのは、あくまでs家庭裁判所であり、指定していたからと言ってその方が選任されるわけではありません。その場合には、指定されていた家族からクレームの電話が来ます。決定内容に不服があれば、当然控訴なども考えられますが、この家庭裁判所の判断については、控訴等は受け付けてくれません。対象外になっているためです。
逆に、このようにクレームの電話が来るケースについては、「よからぬことを考えていたのでは?」と勘ぐってしまいます。
このように使い込みが発生した場合、家族であっても刑事事件として告訴されます。
そして、他に相続人がいた場合、問題はこれだけでは収まりません。将来発生する相続で得られるはずだった財産について、民事訴訟を起こされる可能性もあります。こうなると家族間の関係は、修復不可能になるでしょう。