第1回|日本の遺言制度の基本 ― まずは「種類」とそれぞれの特徴を正しく知る ―

2026年02月02日

結論から言うと、遺言は「種類の違い」を理解しないまま作成すると、かえって相続トラブルの原因になります。
日本には複数の遺言方式がありますが、実務で使われるのは主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つです。
本記事では、遺言制度の基本から、それぞれの特徴・効力・注意点までを整理し、「自分にはどの遺言が合うのか」を判断できる土台をつくります。

目次

  1. 遺言制度とは何か
  2. 遺言がないとどうなるのか(法定相続の仕組み)
  3. 遺言の主な種類と特徴
     - 自筆証書遺言
     - 公正証書遺言
     - その他の遺言方式
  4. 遺言書の効力と「検認」という手続き
  5. 【比較表的まとめ】2つの遺言の違い
  6. 司法書士から見た「最初につまずきやすいポイント」
  7. よくある質問(FAQ)
  8. まとめ|第2回へのつながり

1. 遺言制度とは何か

遺言とは、自分が亡くなった後に、財産を誰に・どのように引き継がせるかを法的に決めておく制度です。
単なる「希望」や「メモ」ではなく、民法に基づく正式な法律行為であり、正しい形式で作成された遺言は、相続人全員の合意よりも優先されます。

👉 つまり、
**遺言は「家族へのお願い」ではなく、「法的に効力を持つ最終意思表示」**なのです。

2. 遺言がないとどうなるのか(法定相続)

遺言がない場合、相続は民法で定められた「法定相続分」に従って進みます。

例えば

  • 配偶者と子がいる場合
  • 不動産しか財産がない場合
  • 相続人同士の関係があまり良くない場合

このようなケースでは、
「話し合い(遺産分割協議)」がまとまらず、相続が止まってしまうことが珍しくありません。

📌 よくある誤解
「家族仲がいいから遺言はいらない」
→ 実務上、もめる相続ほど『遺言がなかった』ケースが大半です。

3. 遺言の主な種類と特徴

自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん)

遺言者が、全文・日付・氏名を自分で手書きして作成する遺言です。

メリット

  • 費用がほとんどかからない
  • 思い立ったときにすぐ作成できる
  • 内容を誰にも知られずに作れる

デメリット・注意点

  • 書き方を間違えると無効になるリスク
  • 内容の法的チェックが入らない
  • 原則として死後に「家庭裁判所の検認」が必要

※現在は「法務局での保管制度」を使えば、
✔ 紛失防止
✔ 検認不要
といったメリットもあります(詳細は第2回で解説します)。

公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)

公証人が関与して作成する、最も安全性の高い遺言です。

メリット

  • 形式不備で無効になる可能性が極めて低い
  • 原本が公証役場に保管される
  • 家庭裁判所の検認が不要
  • 相続手続きが非常にスムーズ

デメリット

  • 費用がかかる
  • 原則として証人2名が必要
  • 従来は公証役場への出向が必要だった

※この「ハードル」が、2025年10月から大きく変わります(第4回で詳述)。

その他の遺言方式

「秘密証書遺言」なども法律上は存在しますが、
実務で使われることはほとんどありません。

👉 実際の相談現場では
「自筆」か「公正証書」かの二択と考えて差し支えありません。

4. 遺言書の効力と「検認」という手続き

自筆証書遺言は、原則として家庭裁判所での検認手続きが必要です。

検認とは

  • 遺言書の存在・内容を確認する手続き
  • 有効・無効を判断するものではない

という位置づけですが、
時間も手間もかかるため、相続手続きが止まる原因になりがちです。

📌 ただし
法務局の自筆証書遺言保管制度を利用していれば、検認は不要になります。


5. 2つの遺言の違い(整理)

  • 手軽さ重視 → 自筆証書遺言
  • 安全性・確実性重視 → 公正証書遺言
  • 不動産がある → 公正証書遺言が向く
  • 相続人同士の関係が微妙 → 公正証書遺言が安心

6. 司法書士から見た「最初につまずきやすいポイント」

✔ 書いたけれど無効だった
✔ 遺言はあるのに使えない
✔ かえって争いの火種になった

これらの多くは、
「遺言の種類を正しく理解しないまま作成した」ことが原因です。


7. よくある質問(FAQ)

Q. 遺言は何歳から作れますか?
A. 原則15歳以上で作成可能です。

Q. パソコンで作った遺言は有効ですか?
A. 自筆証書遺言は全文自筆が原則です(例外あり)。

Q. どの遺言が一番おすすめですか?
A. 財産内容・家族構成によって異なります。


8. まとめ|第2回につづく

遺言制度の第一歩は、
「どの遺言があるか」を正しく知ることです。

次回【第2回】では、
👉 自筆証書遺言の具体的な書き方
👉 法務局保管制度の実務的なメリット・注意点
を詳しく解説します。

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