しかし、なぜこのような登記簿が存在するのか、また、相続登記手続きをするにはどのようにすればいいのか、調査する必要性がありましたので調べました。
2.改正不適合物件の登記簿
改正不適合物件の登記簿の取得について、発行元となる登記の記録内容が記載されている紙媒体の簿冊は、改製不適合物件の所在地を管轄する法務局で管理されています。
そのため、登記簿謄本を取得できるのは、改製不適合物件の所在地を管轄する法務局だけです。
今回はたまたま高松法務局管轄内の土地でしたので、すぐに対応することができました。しかし、管轄外の土地の場合、その土地を管轄している法務局で取得するしかないということです。
なぜこのような登記簿が存在するのかと言いますと、1988年より順次、登記簿を電子データ化していきました。その際に、「共有者の共有持分が合計して1にならない」、「登記記録の中に判読できない文字が存在して移記できない」等の理由で、登記の記録内容をコンピュータ化できない不動産もありました。こういった不動産が改製不適合物件であり、法務局の登記事務がコンピュータ化された後においても、紙媒体で登記の記録内容が管理されているそうです。
この改製不適合物件のことを、司法書士等の業界内において、「事故簿」と呼ばれたりすることもあるそうです。この後の登記手続きなんか見ると「事故簿」と呼びたくなる気持ちもわかります。
3.改正不適合物件の登記手続き
司法書士が登記申請をする場合、「オンライン申請」と「書面申請」を選択することができます。しかし、登記手続きの対象不動産が改製不適合物件である場合、オンライン申請を選択して手続きをすることができません。そのため、書面申請の方法で登記手続きをすることになります。
書面申請については、業務用ソフトで申請書自体は作成可能なのですが、電子申請と作法が異なってきます。電子申請は、申請情報に電子署名をすることとなりますが、書面申請の場合、少々作法が変わってきます。
「司法書士は,申請書の末尾又は欄外に記名し,職印を押さなければならない(司法書士法施行規則第28条第1項)」を忘れずに実施いたしました。
また、登記手続きが終了した場合、「登記識別情報」が発行されるのが通常ですが、この改正不適合物件の登記の場合、登記申請書の写しに登記済の印の押された登記済権利証が発行されます。