まず、遺言書が正式なものであるかを確認します。遺言書の種類に応じて、検認が必要な場合があります。
公正証書遺言:公証人によって作成された遺言書であれば、検認は不要です。
自筆証書遺言・秘密証書遺言:これらの場合、家庭裁判所での検認が必要です。検認は遺言書の形式的な有効性を確認する手続きであり、内容の有効性を判断するものではありません。
2. 遺留分の確認と請求
民法には「遺留分」という制度があります。遺留分は、一定の相続人(配偶者、子供、直系尊属など)が最低限相続できる財産の割合を保障するものです。遺留分の割合は以下の通りです:
配偶者と子供がいる場合:配偶者と子供それぞれが相続財産の1/4を遺留分として持つ。
配偶者と直系尊属がいる場合:配偶者が1/3、直系尊属が1/6。
子供のみの場合:子供が相続財産の1/2を遺留分として持つ。
「全財産を愛人に遺贈する」という遺言書が見つかった場合、遺留分を侵害している可能性が高いです。この場合、相続人は遺留分侵害額請求(旧遺留分減殺請求)を行うことができます 。
3. 遺留分侵害額請求の手続き
遺留分侵害額請求を行うためには、以下の手順を踏みます。
3.1 請求の意思表示
遺留分を侵害された相続人は、相手方(愛人)に対して遺留分侵害額請求の意思表示を行います。この意思表示は、口頭でも書面でも可能ですが、証拠を残すために書面で行うのが一般的です。内容証明郵便を利用することで、意思表示の事実と日時を明確に証明できます。
※裁判をしないと主張できないという方がいらっしゃいますが、遺留分侵害額請求権の行使は、裁判上でも裁判外でも可能です。
3.2 調停・仲裁
意思表示後、当事者間で話し合いが行われますが、合意に至らない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。調停では中立的な第三者が介入し、合意に向けた調整が行われます 。
3.3 裁判
調停が不成立の場合、最終的には裁判に進むことになります。裁判では、遺留分の具体的な金額や支払い方法について判決が下されます 。
4. その他の対応策