それでは、具体的に登記をする場合にはどのようにしたらいいのか、そもそも亡くなった方の意思表示はどうするのかについて、解説していきます。今回の事例は、売主・買主双方ともに亡くなっているケースでお話をいたします。
申請書に添付する「登記原因証明情報」がありますが、契約書がなければ契約書を添付することはできません。そこで、司法書士が報告形式の登記原因証明情報を作成し、相続人の皆様に署名押印をしていただくことになります。
所有権の名義変更について、申請書には以下のように記載をします。
A→Xの贈与の後、双方死亡し、Aの相続人がB・C、Xの相続人がY・Zとします。
(申請書)
登記の目的 所有権移転
登記の原因 年月日贈与
権利者 亡X
上記相続人 Y
上記相続人 Z
義務者 亡A相続人 B
亡A相続人 C
※権利者側のY又はZが申請人となり登記をすることができます。権利者側は、保存行為として、その1人から登記ができるためです。
※義務者側のAの相続人については、相続人全員が申請人になることを要します。(昭27.8.23民甲74号)
しかし、上記の相続人としてどのように証明すればいいのでしょうか。それは、申請書に添付する書面として「相続証明情報」が必要になります。(不動産登記令7条1項5号イ)
3.相続証明情報とは
被相続人(亡くなった方)の生まれてから亡くなるまでの戸籍、相続人の現戸籍です。
売主・買主双方に相続が発生している場合には、双方の書面が必要となります。加えて、被相続人の住民票の除票も必要になります。(譲渡側:登記簿の住所と氏名で本人を特定するため、受取側:亡くなった方の最後の住所の証明として)
また、これらの書類の原本還付ができるかどうかについては、法務局HPを参照すると
(法務局HPより引用)
「「原本還付」される情報原本還付される主な情報(書面)は,以下のとおりです。
① 登記原因証明情報のうち売買契約書,抵当権設定契約書及び弁済証書,解除証書の原本など いわゆる報告的な登記原因証明情報は 原本還付されません。
② 住所証明情報(住民票など)
③ 資格証明情報(会社・法人の代表者事項証明書など)
④ 相続を証する情報(遺産分割協議書,被相続人の住民票の除票など)※ 相続の登記に添付する「相続を証する情報」のうち戸籍全部(個人)事項証明書(戸籍謄抄本 ,閉鎖戸籍全部(個人)事項証明書(除籍謄抄本 )))は,相続関係説明図を提出すれば,原本還付を請求することができます。なお,原本還付の請求が可能かどうか不明な場合は,最寄りの法務局又は地方法務局に御相談ください。」とあります。
4.まとめ
このように、契約当事者がすでに死亡しており、契約書も無い登記未了の物件について、現状で登記をすることは可能です。
また、時効取得として要件を充たす場合には、そちらで現利用者に名義を移転することも可能です。
詳しくは、司法書士まで相談してください。
アイリスでは、相続関連(相続登記だけでなくその生前対策も)の無料相談を随時受け付けております。いろいろとお話を聞くために、あえて時間設定は設けておりません。ただし、予約優先となりますので、必ず事前にお電話で予約をしてください。手続きが発生するまでは、相談の費用は掛かりません。(登記の方法を教えてほしい等、ノウハウを相談事項とする方は、ご遠慮ください)