3.住民票の除票・戸籍の附票の保管期限
今までは住民票の除票も戸籍の附票も保管期間が5年間だったため、抹消されて取得することができませんでした。そのため、5年以上前に死亡した被相続人の相続登記を申請するためには、住民票の除票と異なる書類を用意しなければならず、相続登記の現場では難儀したものです。しかし、法改正によって150年間は保管してくれることになりましたので、その問題は解決することができます。
しかし、保管期間が150年に改正されたのは、令和元年6月20日以降の住民票の除票や戸籍の附票ですから、令和になる前の平成以前の住民票の除票や戸籍の附票が取得できないことに違いありません。
4.住民票の除票・戸籍の附票の保管期限経過している場合の対応
保存期限が超過している住民票の除票や戸籍の附票は取得することはできませんので、「調査はやりましたが見つからなかった証拠」として、「廃棄証明書」を発行してもらうようにします。
ここで初めて、登記名義人の特定をするために次の手が打てるわけです。公の資料での同一人の証明は困難となりました。そこで使うのが「権利証」です。
しかし、権利証も紛失しているケースは十分考えられます。
そこで、権利証までない場合には、戸籍の本籍地として記載されている住所表記が、登記簿の住所と同じであれば、同一人の判断をしていただけます。
これもだめだった場合、相続人全員の同意に基づく「上申書」を提出することになります。
5.まとめ
不動産登記における売買は、売主と買主の意思表示により成立し、その後登記されます。一方、相続登記では、被相続人の意思表示は関係なく、死亡と同時に相続人へ権利と義務が承継されます。相続登記には「戸籍」「住民票の写し」などが必要で、住所がつながらないと同一人物と認められません。以前は住民票の除票や戸籍の附票の保管期限が5年でしたが、法改正により150年に延長されました。ただし、平成以前の書類は対象外で、取得できない場合は「廃棄証明書」を発行し、他の証明手段(権利証の添付)を検討します。